気温は高いのですが風が強かった昨日、
ベランダで咲いたばかりの椿があったので、
花びらが傷む前にと花首のところで摘んできました。
匂い椿という品種です。
テーブルの上に置いた花からかすかな粉っぽい香りが漂い、部屋中に広がりました。
・・・よく見ると、テーブルのところに蜜がついています。
咲いたばかりのこの花は、甘い蜜と香りを部屋の仲間で持ってきています。
椿の花粉を運んでくれるのは、メジロやヒヨドリなどの鳥で、
甘い蜜をたっぷり用意して香りを漂わせ、鳥たちがやって来るのを待っているのです。
咲いたばかりのこの花は、そのままにしておいてあげればよかったかもしれません。
風で多少花びらが傷んでも、樹上で鳥たちを待っている方がよかったかも、
・・・と思ったのですが、
調べたところによると、
椿の花は、他家受粉(他の花のところに花粉を運んで行われる受粉)なので、
鳥たちに来てもらって、花粉を別の花まで運んでもらわなければならない。
そのために花粉が生きているあいだは、花首ごと摘まれてテーブルの上に置かれたとしても、
鳥がやってきて花粉を運んでさえくれれば、役割を果たすことができる。
また、できるだけ遠いところまで運ばれたほうが受粉の範囲が広がり、
進化の可能性が期待できるそうです。
…ですがテーブルの上では、鳥たちがやってきてくれるはずがありません。
蜜を滴らせている椿の花を持ってマンション1階に降りていき、
風が当たらない塀の上の、鳥たちがよくやって来る木の枝の下になる位置に置いてあげました。
気のせいかもしれませんが、部屋に戻ろうとした時に「ありがとう」と言われたような気がしました。
こちらの勝手で摘み取って外に置いきたので、お礼を言われるような行為ではないはずです。
もしかしたら椿の花は、生まれ育った樹上で平和に過ごすよりも、
摘まれて遠くまで運ばれたことに、
種としての進化につながる可能性を見ていたのかもしれません。
動植物・昆虫などと接していると、このようなことがよくあります。
こちらが思うことと、全く違う視点・価値観を持って生きているのです。
人間は身の回りに起こることの、限られた部分だけ見て生きています。
大自然に関することは、動植物や昆虫の方がはるかに大きな視点を持っている。
わたしたちは何も知らないに等しいのだということを、椿の花を見て、改めて思い出しました。
それだから、「謙虚が大事」と言われるのです。自然を好き勝手に支配しようとした歴史を持つ人間は、
動植物・昆虫を見習い、ときどき自省をするのがいいのだと思います。
