街中でよく見かける、中型の常緑樹をもう一つ。
駅ビルの公園内に植えられているもので、馬酔木(アセビ)といいます。
ツツジの仲間の低木常緑樹で、日本に古くから自生し、万葉集に何首も詠まれている植物です。
春分のころに咲かせる白くて細かい、スズランのような可愛らしい花は、
誰もが「よく見かけるあれがアセビの花か!」と思うような、日本ではおなじみの植物です。
お写真は1月中旬の姿ですが、奥に赤いつぼみが開花を待っているのが見えます。
春分の準備が、もう整っているのですね。
馬酔木(アセビ)という変わった名前は、
全草に毒があり、馬が食べると足がもつれて酔ったようになることからつけられました。
奈良公園では、緑の葉や芽を食べる鹿もこの木だけは食べないので、
園内はアセビの木がたくさん残っています。
森林や公園などが、いつのまにかアセビの木だらけになってしまった場合は、
野生の草食動物が出入りしている可能性が考えられる、ひとつの目安になるそうです。
樹高は1~3メートルぐらいと小柄で、公園などに植栽される場合でも、
茶の木や柊などのように刈り込んでしまわず、
風に揺れる枝もそのままに伸ばした、自然の姿ににしたほうが、
風情のあるアセビの木の良さが生きるのだと、
園芸ノウハウの本に書いてありました。
小柄な姿、優しい枝、清楚でかわいらしい花を持つアセビ。
毒があるなんて信じられませんが、
優しさが取り柄のこの樹木に神様が与えた、
一つの生きる手段なのかもしれません。
調べて知ったのですが、
アセビの英名は、Japanese andromeda (ジャパニーズ・アンドロメダ)だそうです。
ギリシャ神話では、美しく生まれついたゆえに海の野獣の餌食になるところだった王女・アンドロメダが、
英雄ペルセウスに助けられてその花嫁となりました。
日本神話にある、スサノオがヤマタノオロチを退治してクシナダヒメを妻とした話とたいへんよく似ています。
ペルセウスは、ゼウスの血を引く半神です。
違う国で似たような話があるということは、
何かしらの史実があったということだと思います。
