日本人にとって、松と同じくらい年末年始に欠かせない樹木に、
ユズリハがあります。
高さ10メートルほどの広葉樹・常緑樹です。光沢のある縦長の大きな葉を見れば、
ときどき見かけるあの木か、と誰もがわかるような、日本の街中でもおなじみの木です。
大型で艶のある葉は、枝先に車輪状に集まってつきます。
春に新芽が出てある程度育ったところで古い葉がバッサリと落葉する、
旧葉から新葉へ譲る、
この新旧交代が非常にハッキリしているところから、
「ユズリハ」と名がついたそうです。
ユズリハは日本原産の樹木で、縄文時代以来、生活用具の重要な素材として存在してきました。
日本古来の信仰とも密接な関係があり、万葉集、民間の歌謡などにもよく登場します。
東京のわらべ歌で「お正月がござった」というのにも登場します。
旧年が去り、新しい年がやって来ることにつながるため、
縁起ものとして、お正月飾りに使われるようになりました。
二つ付いている、光沢のある長い葉がユズリハです。
「ゆずりは」は、お正月の季語とされています。
古代から日本人の生活とともにあり、枕草子にも登場し、
江戸時代には、お正月用品としてユズリハを専門に扱う業者もあったそうです。
日本にとって如何に大切なものであるかがわかりますね。
ひとつの枝先に集まってついていた古い葉と、
伸びて育った新しい葉の交代が絶妙だというだけで、
ずいぶん長いこと日本人の心を惹きつけ続けてきたというのも、
思えば不思議な話です。
ユズリハの新旧交代は、過去に身についたものをいさぎよく脱ぎ捨てて、
新しい生き方にシフトするということに繋がります。
大切なその教えを一人ひとりに必ず伝えるために、日本人の生活にはいりこみ、
今この瞬間を、待っていたのではないかと思います。

