どんぐりの木を、もう一つ。
マテバシイといいます。学術上の分類はブナ科で、日本の固有種だそうです。
茶色く育ったドングリの実をところどころにつけた大株が、公園のあちこちにありました。
スダジイと同じ公園内ですが、マテバシイの方が本数が多いので驚きました。
公園内のみどりの半分くらいは、葉をびっしり付けた大きな樹冠の常緑樹・マテバシイなのです。
茶色くて細長いドングリは、スダジイよりも大きくて食用になります。
手前に1つだけあるのがスダジイです。
公園内を探したのですが、スダジイのドングリで見つかったのはたったひとつ。マテバシイドングリの方は、樹上にもまだたくさん残っていました。
マテバシイのドングリはあく抜きをしなくても食べられるところは同じですが、スダジイほど美味ではないそうです。
ですが炒ったり煮たりすることで、スダジイと同じように美味しく食べられることを、古代の人たちは発見しました。
粉にしてクッキーにしたり、炒ってピーナッツのように食べたりするととても美味しいです。
「縄文クッキー」などと言われている、貝塚から発見された食用ドングリはスダジイではなく、
このマテバシイなのだそうです。
秋に樹上から落ちてきたのを、そのまま食べても十分美味しいスダジイのどんぐりは貴重ですが、
小さいというのもあってリスやクマ、狸など他の動物が持って行ってしまうので、たくさん手に入れることがなかなかできません。
マテバシイの方も同様ですが、何しろたくさんなるので、動物たちが持って行った後でもまだまだ残っています。
果実じたいも大きくて利用価値があります。これを食用にしない手はありません。
スダジイのように美味しく食べようと、縄文人たちは火にかけたりすりつぶしたり、他の材料と混ぜたりと、
いろいろ工夫をしたのでしょう。
スダジイよりもほんの少し劣っているマテバシイドングリは、人間たちにあれこれ工夫することを教えてくれました。
煮たり焼いたり炒ったり、手をかけて工夫することで美味しくなる、食生活を豊かにするのに一役かっています。
手のかかるものは、それにかかわる人たちにいろいろなことを教えてくれ、
成長するきっかとなってくれるために、存在するものなのです。
緑の葉が豊かな常緑広葉樹・マテバシイは、公園や街路樹としてたくさん植えられ、今でも人間たちに愛されています。


