シジミチョウの中には、幼生時に樹木の葉を食し、奥深い山や高原に生息するものがいます。
この種類は、ゼフィルス(Zephyrus)と呼ばれます。
ゼフィルスとはギリシャ神話の西風の精ゼフィロスを語源とし、「そよ風の精」の意味があるそうで、
その名にふさわしくいずれも美しい翅を持っています。
ハンノキに見られるミドリシジミは、ゼフィルスの代表種です。
ミドリシジミ類のほか、銀色や朱色など鮮やかな輝きをもった種類が多く、裏面も美しい文様を持つものもいます。
まるで、森の妖精のようですね。
ミドリシジミが翅を開いたところを前面から見ると、キラキラと美しくて最高、まるで宝石のようなブルーです。
ゼフィルスのオスは縄張り意識が強く、きまった時間に自分の領域を飛び回るディスプレー飛翔をします。
森の日だまりになる場所の突き出た枝や葉に静止して、輝く翅を精一杯開き、キラキラと自分をアピールし、(占有行動)。
他のオスが自分の縄張りに入って来ると、お互い追いかけながらぐるぐる回って飛ぶ、卍巴(まんじともえ)飛翔を始めます。
「ここは自分の縄張りだ」という主張である卍巴飛翔は謎の部分も多いですが、羽ばたく早さで勝敗が決まるという研究結果もあります。
争いごとであっても、きちんとルールを守って行うところが微笑ましいですね。
この動画はスローモーションですが、実際はたいへんに素早くて、我々人間から見ると「何かくるくる回っている」という感じです。
明るいところでも美しいですが、薄暗い森林の中だとさらにきらめきが増し、まるで2つの宝石が飛んでいるような卍巴飛翔。
日本には北海道から九州まで25種類のゼフィルスが棲息しています。
蝶の愛好家は必ずといっていいほど、このゼフィルスの美しさに魅せられるそうです。
気持ちがわかりますね。美しいということは、とても価値のあることなのです。

