多摩川上流の両岸の森林公園を散策していて、たくさんの昆虫を見かけた。
アゲハチョウやカナブン、ミツバチ、バッタの幼生のようなお馴染みのものが多い中で、
印象に残ったものを、写真に撮ってきた。
これはハグロトンボ。
河川の岸辺でよく見られる「川トンボ」で、水生植物が自生しているようなゆるい流れを好むそうだ。
飛んでいるときは全身真っ黒に見えるけれど、
静止している姿をよく見ると、胴体の腹の部分がエメラルドグリーンに光っていて美しい。
飛び方も個性的だ。
普通のトンボのように翅(はね)を細かく動かしてホバリングするようなことをせず、
蝶のように、翅を広げて空中をひらひらと舞う。
飛び立つ寸前の姿だ。
真っ黒な翅がわずかに金色に光っていて、
小さいけれど、まるで神様のように神々しい。
調べたところによると、
ハグロトンボは日本では昔から「神様トンボ」と言われている。
お盆の時期である7~8月によく姿を見かけるため、
ご先祖様の魂が姿を変えてやってきたもの、という言い伝えがあるそうだ。
普通のトンボと違って翅の開閉を繰り返す動作が、
「手を合わせて祈る」行為に似ているとも言われる。
川辺には他の種類のトンボもたくさんいたけれど、動きが早くてあっという間に飛んで行ってしまうので、撮影することができない。
この神様トンボだけがゆっくり舞い、木陰に停まって翅を開閉しながらシャッターチャンスを何度もくれた。
そして川辺を歩いていると、まるで寄り添うようにひらひらとついてくる。
昔の人が、「ご先祖様の魂のようだ」と思ったのも、わかる気がする。


