投稿記事がありました | 閉鎖中

閉鎖中

閉鎖中

見ることのできない世界を「見る」ために

 初めまして。この度会員になりました山下と申します。以後、よろしくお願いいたします。
 さて、私は現在見えない人・見えにくい人のQOL向上のために、どのようにICT機器を活用すればよいかを研究しております。しかし、たくさんの人によく「ICT機器を使うと何がいいの?」と聞かれるのですが、あまり深く考えてこなかった私には実用的なことしか答えられず、何か違うなぁ~という気持ちを抱えておりました。
 今回、ブログを書く機会をいただきましたので、これをきっかけにいろいろと考えていき、皆様と共有できればと思います。
 そもそも、私がICT機器を活用しようと思いたったのはデイジー機器や点字による情報入手の限界を感じていた頃でした。当時私は勉強や仕事に役立つ知識を得るために、これらの方法を使って情報入手していましたが、どうもこれらの方法で得られる情報には「新鮮さ」と「自由度」が欠けており、しっくりきていませんでした。そんな時、友人がスキャナとパソコンの文字認識、それと音声読み上げ機能を用いて活字の本を読んでいることを知り、私もやってみようと思い立ったのがきっかけだったと思います。
 最初は仕事や勉強を有利に進めていくために始めた読書だったのですが、知識が増えてくるにつれて私にとっての「読書の効能」がわかってきたような気がします。それが「見えていないはずの世界が見えるようになったこと」です。
 人は感覚を通じてしか外界を知ることができません。そしてその感覚は「記憶」という形で残っており、何かのきっかけでそれらがつながって「イメージ」を形作ります。私の場合はそのイメージがほとんど影像情報なのですが、知識が増えるたびにこのイメージが鮮明になってきているのです。私にとって読書は「この世界を見るために記憶同士をつなげるパーツを手に入れる行為」であり、その読書を有利に進めるのにICT機器がしっくりきたというのが、私のICT活用なのだと思います。
 日本人は相手の気持ちを推し量るという、目に見えないものを見ようと努力する姿勢があります。これができる私たちですからこそできるのではないでしょうか?
「この世界を目ではなく、心で見る」ことが。