9日ぶりに叔母に会いに行った
叔母の衰弱は激しくて 治療法がないのだという
腹水で膨らみ切ったお腹を抱えている
顔もすっかり痩けてしまって言葉もない
パンパンに浮腫んだ足を摩ると気持ちがいいといいけれど いつも冷たいのは血行が悪いせいだろう
4月の冷たい雨が降る
降っては止んで また降り続ける
叔母の家に行く途中に
従弟が通った小学校の方の道を走った
その小学校の脇に本当に小さな小さな郵便局がある
叔母がよく郵便局でお金を下すと言っていた場所だ
そして少し先に行くと叔母の住む村で唯一の個人の売店があって ガソリンスタンドがある
その店を見落としてしまうと本当にその先には畑と田んぼしかない
小さな集落はあっても店はない
高度成長真っ只中 都会で結婚生活を始めた次姉もいたのに 地元での結婚を決めたのは叔母自身だ
けれどその当時既に後悔してたという
あまりにも周囲に何もない
山と呼ぶには低い雑木林と当時台風で氾濫する河川がそばにあった
住んでみないとわからない土地の風習
毎日の生活が常に暗かったという
実家に帰ると もう婚家に戻るのが嫌だったとも言っていた
そんな昔話を数年前に聞いたばかりだった
真面目で実直な叔母の病気の回復を願っている