富国生命ビル | だから構造家は、楽しい

富国生命ビル

大阪梅田に完成した富国生命ビルのお披露目会に参加してきました。


だから構造家は、楽しい。-既に誰でも撮影可能な外観

コンペを経たドミニク・ペローによる基本計画。

清水建設が設計・施工。


雑誌発表等もあるでしょうから、既に誰でも撮影可能な外観のみの掲載に留めておきます。


どこまでがペロー事務所でどこが清水なのか、細かい線引きは良くわかりませんが、非常に良い建物でした。

建物外観をデコボコさせただけ、というようなシロモノではございません。


見せていただいた部分が、基本階、建物東側にある地下2階からのアトリウム的部分、1階エントランス、屋上、の4箇所ではありましたが、特にメインであるアトリウムとエントランスは素晴らしいの一言。

that's 建築。


低層部分は、構造的には吊ってるのかフィーレンディール的に解いているのか不明快で、どちらかというと変形の調整程度に丸柱を使っている感もあり、やや強引な解き方をしてしまっている印象ではありますが、「まぁ、仕方ないのかな」という感じです。

柱を落としたくなかった箇所が明快すぎたのは事実です(笑)。


でも、あのアトリウムは「上手い」ですよ。

(構造がそれだけ我慢してるのだから建築として上手く作ってないと可哀想だ。)

何が上手いかというと、空間ボリュームの適切さがまずあるのだけれど、形態的に壇状に徐々にズレていく段差部の構造がかなりマッシブになってしまっているところを底面をミラー貼りにしてさらに白のストライプで処理しているところなどはテクニックそのもの。

その結果、見上げた際の複雑さが、そもそもの形態の複雑さなのか、外壁のガラスのでこぼこの複雑さなのか、構成の複雑さなのか、ごちゃごちゃのままで、要素の差を全く感じさせず等価に扱っている。

ついつい、シュッと綺麗にまとめてしまいがちな日本人とは違う感性が出てる気がしました。


ここは是非、実物を見ていただいて感じて頂きたいところ。


そして低層部で全般的に用いられている天井仕上としてのエキスパンドメタル。

エキスパンドメタルをの端部を切りっ放しにするのではなく、あえて一つ一つ丸めていることで、畳のような柔らかさが出ています。

南面のエントランス正面壁のメタルリックな仕上げもまた良し。

なんとなく「石でも張っとけ」で済まされそうな部分がそうはならないあたりもペロー流か。

ここら辺もまた、自由に出入りできる箇所だと思いますので、是非現地にてご確認ください。


個人的には最上階(というよりも屋上)のヘリポートや外壁を支える亜鉛めっきどぶ付けの鉄骨フレームが好きでしたが。。。

特にH300x300の列柱は気持ちのよいプロポーションでした。

(ひととおり雑誌発表等がすめば、ここにこっそりUPしますのでしばしお待ちを)


とりあえず、今年度の暫定1位にランクイン。

(この後に今年の大本命、豊島美術館が登場しますのでね。。。)