6月10日 第9講
はやいもので第9講
前回、長期荷重を中心に話をしたので、今日は短期荷重を中心に。
積雪・地震・風が主な短期荷重。
ただし、積雪については、長期に加えなければならない多雪地域もあることを紹介。
特に今年度の正規受講生は石川県出身なので、いい加減なことは教えられません。
が、逆にこのような地域性は、教える方にも教わる方にも都合がよい、と僕は思っている。
学ぶ、あるいは、理解する、にあたって、ストーリーやきっかけがあるにこしたことはないからである。
風荷重の算定式など、はっきりいって、学生が式だけをパッと見て理解できるような内容ではない。
今の法規の風荷重の式が出来たのは、僕が社会に出てからで、僕自身も最初に見たときは何のことやらさっぱりであった。
文字の羅列を棒読みして、Gfはガスト影響係数で、と言っても、多分、??、となりそこから先に進めない。
が、基準風速が地域ごとに過去の気象データに基づき定められているということを教え、告示に示された各地域の数値を提示してあげれば、自分の故郷がどんな数値であるかを調べるくらいは興味がもてる。
そして、例えば、毎年のように台風が直撃する沖縄の数値とその数値を比べさせてみる。あるいは、小さい数値の地域の生徒がいれば、台風がよくくるかどうかを聞けば「あまり来ない」というリアルな答えが返ってくるはずである。(でないとおかしい)
そうすることで、風荷重が、(主として台風に起因する)過去の最大風速に基づき決められていることが理解できる。ガスト影響係数などは、詳細を語るではなく、イメージで済ませておけばよい話で、一つ例題を出して、結果的に風荷重がどんなぐらいの数値になるのかだけつかんでおけばよい。(もちろん、沖縄に比べて、半分くらいとか8掛けぐらい、といったこともセットで説明はする。)
積雪荷重だと、多雪地域かそうでないかで、雪1cmあたりの比重が異なることや、短期だけでよいあるいは長期でも考慮するという場合分けの存在するのは、文字で示すとめんどうなだけなのだけれども、ストーリーだてて自分の身におきかえれるよう話してやると、一応、ナルホド、という表情になる。
地震も法律上は地域係数Zってのがあるのだけれども、僕の授業の中では、Zは0.8というところもあるけれど、1.0だと思っていてよい、と。
授業ではAi分布荷重に時間を割いているのだけれども、ここでは省略。
まぁ、いずれプロの設計者になるわけだから、荷重が決まる仕組みがどんなものかぐらいは知っておくべきだし、興味を持つべきであろう。具体的な作業は外注に任せるのでよいのだけれども。
少なくとも、素人であるお施主さまからすれば、「外注に任せているのでそんなのには興味ないです」とか「知りません」、という設計者やマネージャーはそもそも信頼できなくなるんじゃないのかな。
多分、そういう時代になっていく。