迷える子羊 | だから構造家は、楽しい

迷える子羊

正午すぎ、就職活動中の京大の院生が来所。


午前中にアラップジャパンを訪問した直後に、僕の事務所(世田谷のおんぼろアパート)に来たわけだから、さぞかしそのギャップに驚いたことでしょう。


独立したてのペッペーの事務所ってこんなもんですよ。

しかも、まだ荷物整理がついていないから、ただのガラクタ部屋

もうちょっと落ち着いてから来てもらいたかったところですが、見栄を張ったところでしれてるので「来てもええよ。」と言ってしまいました。


いま進行中のプロジェクトをいくつか紹介したあと、近くのイタリア料理屋で食事。


就職全般に対する、学生からの悩み相談室。

どういう道へ進むべきかかなり迷っていました。

アトリエ系への憧れはあるようでしたが。


独立して仕事をすること・建築家と仕事をするスタイルの面白さなんかは説明できるのだけれど、面白いことばかりではないです。

やはり『安全を担保すること』が最大の使命なわけだから、胃が痛くなる瞬間は多ものですよ。

特に、攻めたデザインをやる場合は、これで良いのだとジャッジしていくのに普段の倍以上に神経を使うし。


僕は僕自身を否定するわけにはいかないので、「アトリエ系はやめとけ」などとは決して言わないし、かといって、パラダイスだとはとてもじゃないけれど言えません。


なんぼ有名な会社かって、いつつぶれるかわかれへん。

ゼネコンの設計部に入ったつもりでも施工部門への異動命令が出るかもしれん。

外資系なら、その会社が日本から撤退しないって保証は誰がしてくれるんか。

アトリエ系は給料も低めやし、そこから独立しても収入なんて誰も保証してくれへん。


悪いこと考え出したらキリがないんやから、極力ポジティブに行ってください。


ま、何事にしても最後は本人の腹のくくり方次第。

設計って多くの可能性を捨てて一つに決断することですから。

大手だろうがアトリエだろうが、腹のくくれない人にはそもそも向かない仕事だと僕は思います。


前向きに考えるための言葉であれば、いくらでも聞かせてあげるから、迷ったらまた遊びに来て下さい。


また京都でも会いましょう。