高耐候性鋼
夕方、伊東事務所にて住友金属の技術者を交えて打合せ。
高耐候性鋼板を構造かつ仕上げとして用いるか否かの判断をそろそろしないといけない。
メーカーの技術者と話すのは、面白いというか、色々とためになります。
高耐候性鋼なのに、錆びるんですか?
錆と腐食の違いって何?
高耐候性鋼を室内で使うのはよろしくないって、どうして?
錆ってわかりづらくて苦手なんです。
が、今日は、その苦手意識から脱却することができました。
わかっていながら、ついつい、忘れがちなのですが、
普段ついつい「鉄」と呼んでしまっているその材料は「鋼」であるということ。
Feが「鉄」の元素記号なわけですが、「鋼」はFeの塊ではなく、炭素やらニッケルやらクロムやら、
色々と混ざっていて、ようするに合金なのです。
高対候性鋼も、普通鋼と呼んでいるものから、組成の割合を少し変えて作ることで、腐食しにくい鋼材としているわけです。
そして、ひとつの鋼部材や鋼板においても、分子レベルでの状態は均一ではなく電位にも差があるそうですね。
「錆」っていう言葉が漠然としすぎているのでわかりづらいのですが、結局は、電位差からe-が移動して化学反応が生じて「錆」と呼ばれるものに状態が変化するわけで、電池と同じ原理によっているのだとわかると、
水に触れると錆やすい
海辺だと錆やすい
キズがつくとそこから錆びる
溶接部から錆が出やすい
といった風に、これまで漠然と別々に理解していたことが、
1つの事象としてにスーッと身体に入ってきました。
僕は、こうした、
『腑に落ちない』 から 『合点が行く』
へシフトする瞬間が昔から好きです。
性質を逐一暗記するのではなく、化学で考えればよかっただけの話しです。
駿台の石川正明先生の化学の授業が懐かしいです。
構造設計をやっていると、物理的思考に頭の中が支配されがちなのですが、
こうやって、ふっと化学などの普段とは違う位置に視点を移動させてみると、妙なしこりも取れたりするもんですね。
忘れていた大事な原則を思い出したという感じです。
化学的思考とは別のことですが、これまで誤解していたことがありました。
それは、
高耐候性鋼=コールテン鋼
だと思っていたこと。
コールテン(COR-TEN)、というのは、新日鐵系の商品名 だそうです。
ので、今日の住友金属の人は、コールテン鋼とは決して言いませんでした。
ウォークマンはソニーの商品名、というのと同じ話ですね。