star & flower -20ページ目

star & flower

∞eighter∞

明け方、はっきりしない頭で目を開けると、隣には侯くん。
横になり手を握っている。


「なぁ、泣いてたん?」
じっとこっちを見てる。
ドキっとして、目を逸らしてしまう。


「なんで泣いてたん?」


「やきもち、やいてくれたん?」
応えられなくて。


「俺な、別れてん」
驚いて顔を上げると、苦笑いして侯くんがぽつりぽつりと話す。


「昨日な、外出てから、ちゃんと話してきてん。
 ほんで、別れてきた。
 お互い、もうアカンなって思ってたし、

 それでもなんとかなるかもって続けてきたけど…
 やっぱりアカンかった。
 もう気持ち、別のとこにあったし…
 それで…それに………」

沈黙が続くその言葉の続きが知りたくて、瞳を覗き込む。


「寝惚けたフリしてチューしてもうたし!」
耳を真っ赤にして、早口に言う侯くん。
(!?)
こっちまで恥ずかしくなってくる。
「嘘…あれって、だって…」


私を引き寄せ、強く抱き締めて耳元で訊いてくる。
「なぁ、俺のこと、好き?」
(なんでそんなこと…)
「そんなん今、反則だよ…」
(ダメだ、声がふるえる…)
「嫌いなん?」
「好き、だよ」
私を抱き締める腕が更に強くなる。


「じゃあ、今日からはソファで寝るん禁止やで!」
(?)
「一緒に寝てって言ってんの!」
(!?)
「アカンの!?」
「アカンくはないけど…何も一緒じゃなくても…」
「充にだってお前の寝顔見せたくないって言ってんの!」
やっぱり顔が赤い侯くん。

「なぁ、アカン?」
(そんな顔されたら、ダメって言えないし)
「良い…けど…」


「ほな決まりやで!後で取り消すんナシやで!」
子供みたいな顔。
が一転、怪しい笑顔で一言。
「ただ、静かに寝かせてやれるかは、分かれへんけどな」
(!!!!)


心臓が止まるかと思った。
アタフタする私に侯くんが軽く口づける。
面食らっている私。


「仕事、頑張るわ」
また無邪気な笑顔を見せる。



コロコロと表情が変わったり、赤くなったり男らしくなったり、忙しい人。
一緒にいると見えてくる、実は色んなことに敏感な人。



(この人の側にいたいなぁ…)
あったかい気持ちになった朝。




帰った部屋は真っ暗で、そこに侯くんの姿はない。
今日帰ってくるのかどうか、明日仕事があるのかどうか、充くんは知ってるみたいだけど、訊くことはしなかった。


「コレ、食べてええの?」
冷蔵庫を開けて充くんが訊いてくる。
「うん、あっためようか?」
「自分でやるし大丈夫やで。風呂、入ったら?」
そう言われて、上着も脱いでいないことに気付いた。
「ありがと…今日は、先に入らせてもらうね」


キッチンを後にし、お風呂に入る。
熱めのお湯に浸かりながら、またぼんやり考えてしまう。
(いつまでもこのまんまは、ダメだよね)
ひとしきり考えると、いつの間にかぬるくなったお湯から出る。
交代で充くんが入って、明日は早いから寝る、とかですぐ部屋に行ってしまった。



日付が変わりそう。
いつも通り照明を小さくして、大きなソファに横になってすっぽりと毛布を被ると、またさっきの光景を思い出す。
目頭が熱くなる。
涙が止まらなかった。



侯くんはまだ、帰ってこない。