最近、気になる人がいます。
先月から、こっちに異動してきた人なんだけど。
隣のフロアだから、挨拶ぐらいしかしたことはない。
正直、どんな人かもまだ分からない。
けど、ずっと気になってる。
「ゴメン!あと、お願い!」
「あ、もう少しで終わるんで大丈夫ですよ。早く帰ってあげて下さい。」
どうしても、明日までにやらなきゃいけない仕事。
一人でも、仕上げないと。
節電のため、自分の上しか電気は点けません。
暗いとこは平気だけど、ちょっと寒々しいかな。
(お腹空いたなぁ…)
そういえば、と机にあったチョコを口に入れる。
(はぁ、甘い物、美味しい…)
一息吐いて、仕事再開。
フロアには、機械と自分の動く音だけがする。
「まだ、帰られへんのですか?」
聞こえる声に驚いて手元が乱れる。
振り向くとそこには気になるあの人…。
「どうしたんですか?」
「どうしたんはこっちの台詞ですよ。なんで一人で仕事してはるんですか?」
「さっきまでいらしたんですけど、家の都合で帰られたんですよ。」
「そんなん、言ってくださったら一緒にやりますよ?」
「ありがとうございます、けど、大丈夫ですよ。もうここにあるだけなんで。」
「ほんまですか?」
「はい、大丈夫です。」
「ほな、行きますけど、はよ帰って下さいね?」
「ありがとうございます。お疲れ様です。」
(はぁ~びっくりした。今のは一体、何だったんだろう?疲れすぎて幻覚見た?まさかね。でも、カッコ良かったな…)
今更ながら、恥ずかしくなる。
ちゃんと会話ができたかどうかさえ、記憶が曖昧。
せっかく心配してくれたのに、可愛げがない態度だったかも?
熱くなった頬を手の平で扇ぐ。
(もう、他のフロアも誰もいないんだろうな)
首を2~3度横へ曲げてから、手を動かして、時計の針は回っていく。