パンデミックの午後  その① | 俳茶居

俳茶居

       義仲寺や秋立つ空に塚二つ (呑亀〉

パンデミックの午後  その①

 頑張ろう東京 闘いは危険な中だるみの様相

 気を緩めたらぶり返す

 

台湾鹿谷郷の合歓の花 2014年4月撮影

 

2020年5月6日、今日でゴールデンウイークが終わる。5月4日、国民会見があり、5月31日までの緊急事態宣言期間を延長すると発表した。各種報道により事前に内容が予想されており、誰も驚く人はいなかったであろう。政府によれば、国民の協力により爆発的感染には至らず、感染低下傾向にあるが、今解除の状態ではない。地域により段階的に緩やかな解除を検討していく内容と理解した。

 

〇PCR検査が何故増えないのかの言い訳を聞かされた。4月7日総理は1日20000

  件体制をと口にしたが、1カ月たっても達成できないのは、トップのリーダーシップの問題としか言えない。

 *PCR検査での陽性率(陽性者/新規検査人数)が正確に出せない状況が続いている。大阪ができて東京が出来ないのは話にならない。PCR検査が増えれば、陽性率の信憑性が上がり、推定感染者数が分かる。感染の推移を把握する大切な数値の一つである。

 *実効再生産数(1人の感染者が、新たに感染させる平均人数。1より大きければ感染は拡大し、1より小さければ感染は縮小していく。)の4月10日現在、東京は「0・5」、全国は「0・7」に(専門家会議発表)感染は低下傾向だと説明されているが、計算式に当てはめる数字が公表されていない。

〇売り上げが半減した中小企業に最大200万円を支給する「持続化給付金」の入金日を「早ければ(5月)8日から」と言うべきところを「8月」と言い間違え、聞いていた国民は萎えてしまった。記者会見時訂正を入れたが、大切な補償の日にちを読み間違えるのはあり得ない話である。8月に現在申請中のものが支払われても救済には程遠い。

〇政府専門家会議より新しい生活様式の提言

 今後、国民が実践すべき「新しい様式(全体)」の提言があり、

 その一部が以下

*「人との間隔を極力2メートルあける」

*「手洗いや換気を小まめに行う」

*「毎朝、家族で体温を測定する」

*「公園はすいている時間を選ぶ」

*「食事では横並びに座る」

*「帰省や旅行を控えめにする」

*「誰とどこで会ったかをメモする」

など、生活する場面ごとに感染を防止するための対策例が発表された。

生活様式を提案するのは、専門家会議の仕事なのか疑問だ。「横並びで食事をする」のは、工夫であって新しい生活様式とはいえないだろう。専門家会議のメンバーは、ほぼ医療、保健が専門の方々である。「毎朝、家族で体温を測定する」習慣だが、家に体温計がない所はどうするのか。品薄の状態は続いている。「公園はすいている時間を選ぶ」と言われても国が公園の空き具合を流してくれるのだろうか。東京では大きな公園が閉まったままである。お蔭で新宿御苑は一番安全な場所となっている。密をさける方策を取りながら開放する方法を検討すべきだと考える。

 

 5月4日の総理会見について言えるのは、やる気のないトップの言い逃れとしか聞こえない会見であった。今回も専門家会議の尾身副議長を側に置き、総理自ら答えるべきもの(フリーランスの記者より「知的障害者の施設での指針」を質問された時)へも尾身氏へ振るなど見苦しかった。

今回も司会をした内閣広報官が、記者会見を外交日程との理由で、早めに切り上げた。テレビ会議でもするのだろうか。いつも思うのだが、記者からの質問は、国民の質問と思わなければ不遜である。とことん質問と向かい合うべきである。質問まで事前に決めている予定調和記者会見が、大事な場面での緊張感をなくしている。政府の要請に応え、自粛を続ける国民の問いかけ(記者の質問)に真摯に向き合おうとしないリーダーはいらない。

                                                                        2020年5月6日    俳茶居