認知症の母の、デイサービスお試し体験は、
実質うまくいったはずであるが……


母は、頑なに拒否を続ける。



おばあちゃん 行くとなったら、パンツも買わなあかん。
  服も古いのん、着ていかれへんし。


お母さん パンツも、服も、タオルもあるやん。
  あかんかったら、私が買って置いとくやん。


おばあちゃん 昼食代も、いるんやで‼️みんな、昼なんか
  家にあるもん食べてるんやで。
  私だけ、贅沢できへん。


お母さん デイの食事代、一回500円や。
  お母さん、農家ちゃうから、食材買うやろ?
  週に一回くらい、外で食べてもいいやん。
  ひとりでご飯食べるの、おいしないんやろ?

 
おばあちゃん おいしないねん。そうかて、ひとりで店に
  食べに行くんも嫌やしな。
  

お母さん 500円なんか、カツオの刺身ひとり分より安いやん。今日も、M谷さんと楽しそうに、
食べてたやん。


おばあちゃん お前は、ホンマに、あーいえば、こーいうな。私の反対ばっかり言う。



お母さん まともな拒否理由、言わんからや。
  嫌な理由、他にもあるんやろ?
  なんでも、聞いたるし、考えたるやん。

そのために、今日もずっと一緒におってんよ。
困ることや、心配なことあったら、私からデイに
言うたらええんやし…
そやけど、M谷さんと機嫌よくしてたやん。
それとも、なんか、嫌なこと、あったんか⁉️
  


おばあちゃん 今日は、嫌なことなかったよ。
  M谷さん、いい人やからな。
  次もおいでよてばっかり、言うてたわ。
  今まで、私おれへんかったのにな。
  職員さんも、やさしいしな。
 
お母さん お母さんおったほうがいいからやん。
  いらんかったら、おいでよって言わんよ。
 何回も言うてことは、本当にきてほしいんよ。
 

おばあちゃん かわいらしいお婆ちゃんやな。
  ほんま、ええ人やな。


あんたも、ちょっとは見習って、かわいらしいお婆ちゃんになれよ。

説得は、まだまだ続きます。