母は、認知症を知らない。
認知症は、ひと昔前は痴呆症といった。
父方の祖母は、痴呆症だった。
当時は、薬💊がなく、
リュウマチで歩けない祖父と一緒に
痴呆症の祖母を、騙すようにして呼び寄せた。
母は
若い頃に、同居して、ひどくいじめられた
ので、
それに比べると楽やわと言った。
私は学生だったので、客観的な立場だったが
お風呂で頭にお湯をかけたり
徘徊に、こっそり付き合ったり
寝る時に、布団を敷いたりしたなぁ。
薬もデイサービスも、ない時代。
母は、それが病気だとは、今だにわからない。
祖母がボケたのは、ずぼらなせい。
祖母がボケたのは、家事をしないせい。
だから、頑張って家事をして、頑張って動こう。
母は、ボケた頭で、そんなことを思っている。
「頑張ってるやん。」
「頑張ってるのに、なんでやのん。」
認知症を知らない母。
自分が認知症である事を覚えられない母。
そんな母の苛立ちが、私を不安にさせる。