単純ではない | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 先日、大学の先生と話をしてた時

 「サクラエビが絶滅するかもしれないんです」

 と伺いました

 「あの、静岡の?」

 「はい、駿河湾にいるやつなんですけど、あのエビって駿河湾と東南アジアの一部にしかいないんです」

 「へー、そんなんですか。それがなんで絶滅?」

 「リニアです」

 「リニア?あの静岡県知事が反対してバッシングされてる。でも、なんでリニアでサクラエビが絶滅するんですか?」

 

 お話を要約すると

 富士山の雪解け水が大井川の伏流水となって、駿河湾の海底から湧き出している

 サクラエビって、その伏流水の恩恵で生きている生き物で、伏流水が涌き出なくなったり、少なくなってしまうと生きられなくなってしまう可能性がある

 リニアが通る場所は大井川の伏流水を分断する位置にあり、工事の影響で伏流水の流れが変わる可能性がある

 もしかして影響はないかもしれないけれども、伏流水の流れがどうなるかは全く予測がつかない

 工事によって伏流水に影響が出て、サクラエビが激減したり絶滅したら漁師は職を失い、生態系にも大きな影響が出る

 

 「おそらく、工事をする側は調査の結果影響はないとか言い張って、サクラエビがいなくなったとしても直接的な因果関係は確認できないとか言って逃げるんでしょうからね」

 「でしょうね」

 「生き物が絶滅したら取り返しがつかないですものね。だから静岡県知事はあんなに反対してたんだ」

 「漁業者からの要望が強いみたいです」

 「そうでしょうね。生活が懸かってんだから。でも、ニュースでは静岡県知事が意味不明の反対をしてるって一方的に悪者みたいになってますけど」

 「ちゃんと理由があって反対してるんですけどね。なぜかその部分は隠されてますね。」

 「そんな、ムチャクチャな。酷いな」

 「酷いです」

 

 

 思えば、福島の原発だって東京の電力を賄うために作られたもの

 電力の恩恵は受けたいけど、放射能の被害はイヤだから福島に作っとけ

 みたいな話で

 震災で放射能が流出して、発電所付近の住民は故郷を追われ

 漁業者は生活の糧を失った

 結局東京の人達は電力の恩恵だけを享受して、被害はみんな福島に押し付けちゃった

 

 10年以上経って、ようやく再建の目途が立ったと思ったら

 ALPS処理水を海に流して、福島だけでなく、日本中の漁師を酷い目にあわせてる

 

 

 食糧危機はすぐそこにあるんですよ

 ほんのちょっと、何かの歯車が狂っただけで、すぐに現実となる

 それも、ものすごく悲惨な現実に

 

 その時に、日本人が頼れるのは日本の漁業者と農業者しかいないんです

 

 食料の確保は最優先されるべき課題だと私は思います

 漁業者を苛めて、最後に痛い目にあうのは誰かをよく考えた方がいい

 

 

 

 ニュースだけ見てると

 静岡県知事が完全に悪で、リニア推進派が100%正しい

 そんな構図になっちゃってるのが怖いです

 実際、私も先生から話を聞くまでそう思ってましたから

 誰かが意図的に操作してるんですかね

 

 思えば交通事故だってぶつかった方が100%悪いってケースはそうそうないみたいですからね

 人がやることには完全な善も完全な悪も存在しないのかもしれません

 

 物事はもっといろんな視点から見なくては本質を見誤るなと思いました

 

 


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