私が20代
日本はバブル真っ只中で1ドル70円台
テレビでは高級ブランドの服を着て颯爽と街を歩く若者の姿が映し出されていました
浜田省吾が「この国 豊かだと悩んでる」と表した時代
そんな時代に
驚くほどの安月給にボーナス無しという、時代と隔絶した離れた暮らしをしていた私
当時はアマゾンも楽天もなく、雑誌なんかで見る服や釣具は田老では買えませんでした
東京に行くお金なんてあるはずもなく
行けたとしても買うお金もなく
でも、幸い円が高かったんでアメリカからの個人輸入をしていました
紙のカタログを送ってもらって、注文書をFAXで送信して
全部英語なのでさっぱり意味がわからず、写真と値段とサイズだけが頼り(笑)
たしか、日本で売ってる値段の半額ぐらいの価格で買えたような気がします
まあ、届くまで1ヶ月ぐらいかかることもあったんですけど、ちゃんと家まで届きました
ABU、fenwick、Orvisなどの釣り具は高価で、私の給料では全く手も足も出ませんでしたが、個人輸入なら手が届く範囲でした
服や靴、キャンプ用品はREIというアメリカの生協みたいなとこから買ってまして
The North Faceの服が欲しかったんですが、高かったので
パタゴニアという会社のフリースをたしか4,000円ぐらいで買いました
1ドル80円だとして50ドルぐらいですか
まあ、これが暖かくて軽くて、釣りに行くのにも海に漁に行くのも、普段も着てまして
確か、田老さけ・あわびまつりが始まった年でしたか
上司からサケの串焼きを売れと言われまして
その日もやっぱりそのフリースを着て炭火でサケを焼いておりましたら
どこからか高校のサッカー部の後輩がやってきて
「遠野と準決勝を戦った北高の10番がサケ焼きっすか?悲しくなるから止めてください」(笑)
「うるせえ。ほっとけ」
近寄ってきて私の服を見るなり驚いた顔で
「ダメですって!そんな服を着てサケなんか焼いてたら」
「なんで?燃える?」
「いや、パタゴニアでしょ、それ」
「うん、たしかそんな名前」
「なんぼしたんですか?」
「んー、たしか4,000円ぐらい」
「ウソばっかり。パタゴニアを4,000円じゃ買えません」
「ホントだって。個人輸入。50ドルとか。そのとき円が高かったからな」
「えー!ウソー」
「そんな高いの?これ?」
「えー、パタゴニア知らないで着てるんですかあ。そんな人が着ちゃダメです。もったいないからオレに下さい」
「ダメだって。これ軽くて暖かくてアワビの口開けに最高なんだ」
「はあ?パタゴニア着てアワビ採りに行くんですかあ~?」(泣)
その後、東日本大震災で家ごと流されたんですが
津波で沈んだ家から泥まみれの状態で引っ張り出してきて
いまだ現役
他の服はチャックがサビて壊れたりできれなくなったんですけどね
金属を一切使ってないからか、全く問題なし
問題があるとすれば右の袖口がほつれてることと、サケを焼いてたときに炭火が飛んできて焦げたとこがあるぐらい
30年は着てるでしょう(笑)
これだけ着れば
Don’t Buy This Jacket
不要になったまだ着られる衣類を無償修理したり、買い取って再販売する「Worn Wear」プログラムを推進するイヴォン・シュイナード(パタゴニアの創設者)も認めてくれるでしょうか?
先日、ネットニュースでパタゴニアスナップTの着こなし
っていうのがあって
(着こなし???)
開いたらなんとメンズノンノ
おー、メンズノンノに出てる!
30年も着てる服が回り回ってメンズノンノですか(笑)
でも、アウトドアウエアは街で流行で着るんじゃなくて、厳しい環境化で動くために着る。着られなくなるまでずっと着続けるのがやっぱり正しいと思います
きっとイヴォン・シュイナードもそれを望んでいるかと