寒っ | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 今朝、仕事に行こうと家のドアを開けたら

 目の前が一面ものすごい煙

 ・・・・・・・・(汗)

 なんだ???何が起こったの???

 って思ってたらサイレンが 

 

 「○○地区で建物火災発生」

 ・・・・・これのことね(ハハッ)

 後ろの家から大量の煙が立ち上っています

 

 長靴に履き替え、手袋を付けてその家に行くと

 火は見えませんけど、壁からものすごい煙

 近所の人が集まってホースで水を掛けてます

 

 バールで壁を剥がしてホースの水を突っ込み

 近所の人が手渡してくれるバケツの水を掛け

 ほぼ煙がなくなって一安心

 

 現場から離れようとしたら

 消防団続々登場

 (ほぼ消えたような・・・)

 

 「オラっ!何やってるカンソー持でっ!」

 思えば私消防団員でした(汗)

 「はい」

 「なんでヘルメットも被ってねえんだっ」

 (なんでって言われましても・・・・・)

 誰かが後ろからヘルメットを被せてくれました

 「どうも」

 漁協の若い職員でした

 

 

 カンソーって消防のホースから水を出す部分のことです

 フツーは元気な若者が持つんですが

 消防団も高齢化が著しく、50才を過ぎた私でもまだ若手(笑)

 

 ガレキのように積まれた物の上をカンソーを持って走る

 足下がふらついてこける(笑)

 「水行くぞっ!」

 「はい」

 「屋根の下に水入れろ」

 「はい」

 「もっと前だ!前行けっ!」

 「はい」

 ってもホースが来ないし・・・・

 

 普通はカンソーを持ってる人の後ろに誰かサポートが付くんですけど

 振り向けば誰もいないし(笑)

 

 私の前にいる団員が軒下を壊して、その中に放水します

 脇にスペースがないので、ほぼ真上に放水

 すると、真上から滝のような水が跳ね返ってきます

 

 「放水止め。そのまま待機」

 

 しばらく待機していても何の音沙汰もなし

 「寒っ」

 気づけば全身ずぶ濡れでガタガタと震えが来てます

 

 手帳も名刺入れもスマホもずぶ濡れ

 あー、ヤレヤレ・・・・

 

 作業を終わってポンプ車に行くと団員が集まってます

 「おい、屯所が近いんだからウチの分団に来い」

 見れば第29分団の団員

 

 消防団は大まかな地区ごとに分かれてまして

 私が所属する第28分団は震災前の家の地区割

 津波で家を再建して、今住んでいる地区は29分団なんですけど、震災前のまま28分団に所属してるんです(名前だけ)

 

 「分団を移動するんじゃなくて、引退しよっかな」(笑)

 「オメ、年の順だ。まだ辞めらる訳ねえべ」

 「ハハッ」(汗)

 以前なら50代はもう引退してましたけどねえ・・・・・

 いつになったら辞められることやら・・・・・・

 

 

 とりあえず着替えようと家に帰ったら

 嫁さん

 「煙臭っ」

 ・・・・・・・他になにか言うセリフがないんだろうか・・・・・・

 


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