クマタカ2 | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

ふーん。でもワラダって何だ。

「何にもしらねえな。ワラダっていうのはワラを束ねたもので、ウサギの上に飛ばせばウサギは鷹だと思って雪の穴に隠れるんだ。それを捕まえるんだよ」

「へー、ヒデちゃんすげえな、マタギのようだな。」

「何回も下見に行ってるからな。ウサギが隠れる場所も解ってる。」自信満々の顔を見たらなんだか本当に捕れそうな気がしてきた。

2人で刺し網を担ぎ、ヒザ上まである雪をこいで山を一つ越えたら広い平原に出た。点々とウサギの足跡も見える。

「ヒデちゃん、これなら本当にいるかもな」

坊主頭は無言でニヤリと笑った。

ふと上を見ると大きな鳥が飛んでいるのが見える。

「ヒデちゃん、あれ?」

「静かにしろ、動くな。あれだ。」動きを止めて初めてのクマタカに見入った。ほとんど羽ばたかずに滑空している。

ハヤブサはバタバタとせわしなく羽ばたいて飛ぶし、ミサゴは羽根の中間に間接があるかのように羽根の先の方をしならせて飛ぶ。クマタカってどんな飛び方をするんだろうと思っていたら、大きな輪を描いてトンビのような飛び方をする。

(トンビに似てるな)と思った

そのうちクマタカはピーヒョローと鳴いた。

「ヒデちゃん。あれトンビだよ・・・」

 ・・・・・

「帰るか・・・」ボンドは遠い目をしてボソリと呟いた。