14冊目: オール・ノット
柚木麻子
2026/06/23
★ひとことまとめ★
人生はままならない![]()
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
友達もいない、恋人もいない、将来の希望なんてもっとない。貧困にあえぐ苦学生の真央が出会ったのは、かつて栄華を誇った山戸家の生き残り・四葉。
「ちゃんとした人にはたった一回の失敗も許されないなんて、そんなのおかしい」 彼女に託された一つの宝石箱が、真央の人生を変えていく。
今度の柚木麻子は何か違う。これがシスターフッドの新しい現在地!
【感想】
シスターフッド(Sisterhood)とは、元々は「姉妹愛」や「女性同士の連帯・絆」を意味する概念です。単なる仲良しグループにとどまらず、社会的な不平等や抑圧に対し、女性たちが互いに支え合い、力を合わせて立ち向かう連帯意識を指します。(Wikipediaより)
オール・ノットというタイトルを見て、all not
?と思って読み始めましたが、all knotかぁ~!だからカバーもパールのイラストなのね。
→オールノットはネックレスの加工のことで、ひと粒真珠を通すたびに固く結ぶから、たとえネックレスが切れても真珠がバラバラにならない技法![]()
今度の柚木麻子は何か違う、というのもなんとなく理解ができた。
この作品はほんわか心温まるストーリーではなくて、現実的だなぁ~と感じるお話でした。
まぁみんな色々と上手く行かないんですよ。
ハッピーエンド
みんな幸せになりました
じゃないのよね。
第一章を読んでいたときは、「四葉が真央のあしながおじさん的なポジションで、これから二人はうまく軌道に乗って、幸せになっていくお話なんだろうなぁ
」なんて思っていたので、第二章を読み始めたら全然違ってショックを受けました![]()
![]()
普通にホテル潰れてるし!!!!
高く売れると思った宝石はそうでもないし…ってか本当に売るんだ…? とも思ってしまった。
でもねぇ…真央もギリギリだったもんね…。
チャンスが到来してもダメだったり、助けの手が差し伸べられてもうまく行かなかったり。
現実もそんなもんですよね。ドラマだったら大逆転!なんだろうけれど、現実は普通に負のサイクルにはまり続ける…
真央だってこんなに苦労したなら超絶ハッピーになってくれるかと思ったらそうじゃないし、ミャーコはようやくアミさんとゴールインか
と思ったら普通にだらしないままで離婚しちゃうし、一葉、四葉、舞はあんなに頑張ったんだから裁判勝つよね…?と思いきや負けるし…。
ぜーんぜん上手く行かないんだ…。
でも、出てくる女性たちが、生きていくこと、生活していくことにすごく食らいついていて。
したたかだなぁと思いました。
私みたいに高校時代、大学時代ぼんやり生きてきた人間とは大違い…。みんな自分の人生から逃げずにしっかりと生きている。
主人公の真央は苦労人すぎて可哀想になってくるくらいだけど、普通の人なら早々に投げ出して逃げ出しそうなことでもコツコツ頑張り続けているし、
堕落的なミャーコだって、やっぱり色々と果敢にトライしているし、自分の立ち位置をしっかり考えて生きている…。
みつばはもうパワフル過ぎてアレだし成功したけど、一葉もみつばとは違う形ではあるけど強い信念を持っていたし、四葉は大人しそうに見えるけれど、転んでも自分の力で人生どうにかしてやるというような強い意志を感じる。
舞も元は復讐心からだったかもしれないけれど、自分の人生を取り戻そうと努力している。
たぶんこの先も、苦労が実って人生の大逆転!宝くじが当たって大金持ち!みたいなことは真央含め誰にも起こらないんだと思った。
その人がコツコツと積み重ねてきた努力が実を結ぶことはあっても、ラッキーパンチみたいなことはないんだろうな、と。
ラストの部分で偶然真央は四葉を発見することになるけれど、四葉が年商5億売り上げる宝石鑑定士になったのだって、まぐれや運じゃなくそれまでの四葉の経験や努力や人間性が世間に評価されたってだけだしね。
四葉、夜通し通販番組を見てたのも無駄ではなかったんだね![]()
タイトルのオール・ノットのように、人生も途中で失敗してしまったとしても、すべてがバラバラにはならず、それまでの努力や積み重ねてきた人生は残り続けるんだなぁと思えた。
柚木さんのお話はいつも美味しそうなお料理が出てきますが、今回もちろん出てきました![]()
いろんなお料理やお菓子が出てくるけど、中でも物語のはじめから終わりまで出てくる回数の多かったビーフティーが気になりました!
Beef teaだけど、茶葉は使われていなくて牛肉のスープ。牛肉だけどスープをとるのが正式だけど、野菜を加える山戸家流のビーフティーが飲んでみたいなぁ![]()
人生ってほんと、ままならないよなぁ。
どんな家庭に産まれるかも選べないし、死に方も死ぬ場所も基本的には選べない。最近親族が急死して、より一層そう思いました。
努力が実らないこともあるし、信頼していた人から裏切られることもある。自分は相手のことを好きで信頼していても、相手は打算的に付き合っているだけかもしれない。
もちろん幸せなこともたくさんあるけれど、ままならないこともたくさんある。
でも、失敗しても裏切られても悲しいことがあっても、オール・ノット(全部が全部だめ)ってことではないはず。
学生時代、自分の努力が人の手柄になったことがあってすごく嫌になっていたとき、友達から「その努力は絶対誰かが見てくれている、わかってくれる人がいる」って諭されたことがあって、そのときは「そんなわけないだろ、じゃあ自分が評価されてるはずだろ」ってクサクサしてたんですよね。
でも大人になって思ったのは、努力を気づいてもらえないことなんて沢山ある、社会人ならなおさら過程より結果で評価されがち。でも、自分が頑張ったこと、努力は自分がよくわかってる。他人が誰も見ていなくても、自分は自分のことわかってあげよう、ってこと。
やってきたことは無駄にはならないはずだから。
生きていたらどうしようもないこともあるだろうけれど、その時置かれた環境で腐らずに生きていきたいなと思う![]()
