59冊目:女性の死に方 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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女性の死に方

西尾元

2021/08/13

 

 

 

★ひとことまとめ★

ここに書かれているのは、未来の自分の死に方かもしれない。

 

 

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

〈本書では、私がこれまで行ってきた解剖例をもとに、「女性と死」について言及している。
なぜ、女性なのか。それはこの本を執筆する動機でもあったのだが、今後、「どのような死を迎えるか」という問いは、
女性にとって避けられない重要なテーマになると考えているからだ。
私は日々、「死」から「生」を見ている。どのような死を迎えるかは、その人がどのように生きたかと密接につながっている。
ひと昔前まで当たり前とされた女性の生き方が多様化し、生涯にわたり仕事を続ける人や、結婚という選択をしない人も増えている。
そうした生き方の変化が、死に方にも大きな変化をもたらす予兆を感じている。〉(「はじめに」より抜粋)

死を考えることは、生を考えること――。
本書は、現役法解剖医として20年にわたり約3000体の遺体と向き合ってきた著者が記す「女性と死」の考察です。
実際に解剖台で対面した「23の死」から、今を生きる女性たちが抱える痛みや苦しみについて記しています。
死に至った原因と背景、そしてこの先増えていくであろう死に方の変化についても言及しています。
また、それらを裏付ける、大学の法医学教室で集めた客観的なデータも多数掲載しています。
解剖台に上がる遺体は「異状死」という、“普通ではない"死に方を迎えた方たちです。
そうした死の裏側には、老いや貧困、孤独、病気、家族関係など、私たちの社会に存在する問題が横たわっています。

第1章 ひとり暮らしの死
第2章 ふたり暮らしの死
第3章 家族の死
第4章 病気の死
第5章 自殺の死
第6章 女性と法医学

【本書で取り上げた解剖例】
◎高齢女性がアパートでひとり迎えた死
67歳 亡くなった場所:アパートの廊下 死因:脳出血
ひとり暮らしのアパートで凍死遺体で見つかった高齢女性
◎ひとり暮らしの過剰飲酒と死の因果関係
54歳 亡くなった場所:アパートの部屋 死因:消化管出血(肝硬変) 部屋に転がる空き瓶からアルコール依存症が疑われた女性
◎ミイラ化した遺体の額に残されていた出血の痕跡
36歳 亡くなった場所:放置された軽ワゴン車内
死因:全身打撲で起きた皮下出血による腎不全(DV)
内縁の夫と車中で暮らしていた女性が強要された売春と日常的DV
◎拒食症が疑われる女性が海外から購入していた「エフェドリン」錠剤
32歳 亡くなった場所:自宅の部屋 死因:薬物中毒(やせ薬)
海外から輸入してたやせ薬に含まれていたエフェドリンが招いた死
◎太ももが真っ黒になるほどの出血と肺動脈に見つかった血液の塊
28歳 亡くなった場所:自宅のベッドの上
死因:急性肺動脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)
脂肪吸引手術の翌日にベッドで亡くなっていた女性の身に起きたこと
◎60キロのコンクリート製の蓋を外し庭の井戸に飛び込んだ老女
90歳 亡くなった場所:自宅の庭にある井戸 死因:溺死(自殺)
自分の体重より重い蓋を外して死を実行した老女の苦悩

 

 

【感想】

よくバナー広告で出てくる、同タイトルのマンガを読んでみたいな~と思っていたのですが、図書館をうろうろした時にこちらの本を発見しましたうーん!!

 

調べたらこちらの本が原作だったんですね!マンガ読まずにこちらを読むことにしましたグッ

 

タイトルをパッと見た時のイメージだと、女性の死ぬ方法、死因みたいな内容に思いますが、女性に関する死、女性と死、という感じなので、男性や子どもの死についても書かれています。(その死に、女性が関わっているという感じ。)

ぎょっとするようなタイトルで、暗いイメージを持ってしまいそうな本ですが、人体について知らなかったことも知れたので、学ぶことが多い作品でしたキョロキョロ

 

それでも死というセンシティブな内容ですし、ちょっとグロテスクな部分もあるので、耐性のない方には注意が必要かもしれません。(苦手なかたはブログ読まずにUターンしたほうがいいかも)

 

 

 

多発性嚢胞腎(腎臓に多数の嚢胞ができ、腎機能が低下する病気)という病気は、難病指定されている、遺伝性の病気なのだ。親が子の病気を持っていれば、一定の確率でその子供も同じ病気になる。(中略)遺族の人が同じ病気で突然死することは、出来ることなら避けたい。(中略)法医学が、亡くなった人ではなく、生きている人の医療に役立つ場面もあるのだ。(P33)

→解剖は亡くなった方の死因を特定するだけのものだと思っていたのですが、そこから遺族の方の医療にも役立つことがあると初めて知りました。

 

 

驚かされるのは、中高年でひきこもり状態になった年齢は「60~64歳」がもっとも多く、17%を占めていることだ。きっかけは「退職」が最多、次に「人間関係」と「病気」が続く。男性にとって会社を辞めることで社会との接点を失う様子が透けて見える。(P37)

 

 

夏に死後2週間も死体を放っておけば、体の腐敗はかなり進む。死後に活発化する微生物らの働きによって腹のあたりが緑色になり、カエルのお腹のように膨らんでいく。(P45)

→こうなる前に、早く見つかりたい…。

 

 

2018年の「配偶者間(内縁を含む)における犯罪(殺人、障害、暴行)の被害者の男女別割合(検挙件数)」は、犯罪総数7667件のうち、女性が90.8%(6960件)、男性が9.2%(707件)。「傷害」や「暴行」の男女比を見てもおよそ9対1で、女性被害者が圧倒的に多い。

ところが、これを「殺人」(153件)の被害者に限ると、女性が55.6%(85件)、男性が44.4%(68件)と、男女差があまりなくなる。

配偶者間における犯罪では、もっとも困難に思える殺人という行為だけ、妻が加害者となる割合が極端に高い。なぜだろうか。

そこからは、夫の身勝手さやわがままを我慢し続けていた妻が限界を迎えると一線を超える、という可能性が読み取れるのかもしれない。(P50-51)

 

 

一般的には腐敗した遺体を食べるウジがよく知られているが、カツオブシムシは乾燥した遺体を好み、臓器を食い尽くす。臓器がなくなった遺体から死因を見つけ出すことは困難を伴う。(P57)

 

 

人が打撲をした際、あざができる。この時、実は筋肉を損傷している。筋肉が傷つくと、そこから血液中に「ミオグロビン」という色素タンパク質が流れ出す。

ミオグロビンには、腎毒性、つまり腎臓の機能を障害する性質がある。大量のミオグロビンが血液の流れに乗って腎臓に送り込まれれば、いずれ、「腎不全」を起こす危険がある。

資料には、全身の面積の20~30%にあざができた場合、「急性腎不全」を引き起こし、死亡する人がいると書かれていた。(P60)

→全身の20%以上にあざができることは日常生活ではなかなかありませんが、腎不全の原因にもなるとは知りませんでした。

 

 

溺死の場合、本来なら空気が入るべき肺に水が流れ込み、窒息死する。この時も、水で肺がパンパンになるわけではなく、空気で膨らんでしまう。飲み込んだ水の勢いによって、もともと取り入れていた空気が肺の奥のほうへと押し込まれ、吐き出せなくなってしまうのだ。(P71)

→てっきり、肺には水しか入っていないのかと思っていました。

 

 

死んだあとに骨折をしても、出血は起こらない。(P72)

 

 

今のところ私の法医学教室では、夫婦ゲンカが原因で亡くなったと思われる遺体は夫ばかりで、妻はひとりもいないということだ。(中略)解剖台の上だけでいえば、夫婦ゲンカにおける妻の勝率は100%である。(P75)

 

 

重度のアルコール依存に陥ると、本来なら食事からとるべき栄養素をアルコールだけで補うようになる。彼らは脂肪分をあまり摂らないのか、内臓脂肪がほとんどつかない。”体の中身”だけ見ると、実に健康的なのだ。血管も非常にきれいで、普通なら加齢と共に起こる動脈硬化がほとんど見られず、心筋梗塞などが起きるリスクも少ない。(P77)

 

 

配属されて間もない頃、まれに解剖中に倒れるスタッフがいるのだが、それは決まって男性だ。彼らはどうやら大量の血を目の前にして、血の気が引いてしまうらしい。実習で解剖を学ぶ医学部の学生たちでも同様だ。解剖中に倒れる女子学生を私は今まで見たことがない。(P88)

 

 

窒息死すると顔に「うっ血」が現れる。うっ血とは、圧迫された場所で静脈に流れていた血液が滞り、皮膚の表面にその血液の色が浮かび上がってくる状態を指す。(中略)動脈を流れる血液により、窒息死した遺体は圧迫された箇所から頭側にかけて皮膚が赤くなる。そのため、首を絞めて殺されれば、通常、遺体の顔は赤く見える。(P94)

 

 

これ(死斑)は、死後数時間して現れる紫赤色の斑点で、人がなくなれば必ず現れる現象だ。(中略)生きている間、人の体には血液が流れている。ところが心臓が止まると、その流れは止まってしまう。すると血液は、地球の重力がかかる方向へと移動していく。

例えば、立ったまま亡くなったとしよう。生きている間、心臓のポンプ作用で全身を循環し続けている血液は、その作用が止まった瞬間、重力のかかる足のほうへと落ちていく。(P95)

 

 

「ひとり暮らしで孤食をしている人」よりも「同居だが孤食をしている人」のほうが、死亡リスクが高いことになる。興味深いことに、「ひとり暮らしで共食をしている人」は男性で0.84倍、女性で0.98倍と、「同居で共食している人」よりもリスクが少なかったという。ひとりで暮らし、家族や友人などと食事をするという他者との距離感が、無駄なストレスを避ける上でちょうどよいのかもしれない。(P98)

→同居して孤食するくらいなら、ひとり暮らしで孤食したほうが死亡リスクは減らせますね。人と暮らしているのに独りぼっちというのがストレスになっちゃうんでしょうか。

 

 

「羊水塞栓症」は、何かのきっかけで子宮内にある羊水が母体の血管内に流入してしまい、羊水に含まれる成分が肺などの臓器に詰まって、重い症状をきたす。「塞栓」とは、血管中の血液の流れを妨げる”異物”のことで、赤ちゃんの産毛や髪の毛、皮膚細胞、便といった、羊水中に含まれる「胎児成分」が母親の血管を詰まらせてしまうのだ。(P103)

→これはとても辛い亡くなり方です。。

こういう症状があるのも知らなかったし、本当に女性は命がけで妊娠・出産をしているんですね。。

つわり、身重になって生活が不便になるだけではなく、運が悪ければ自分の命も無くなってしまうかもしれないなんて。。。

 

 

[乳幼児突然死症候群について]

厚生労働省のホームページでは、睡眠中の乳幼児の死亡を防ぐために、以下のような注意を記している。

・1歳になるまであおむけで寝かせる…研究者の調査によりあおむけよりうつぶせ時のほうが、SIDSの発生率が高いとわかっている

・できるだけ母乳で育てる…母乳で育てられているほうが、SIDSの発生率が低いと調査によりわかっている

・たばこをやめる…たばこはSIDSが起きる大きな危険因子。当たり前のことだが、乳幼児のそばでたばこを吸わない(P109)

→たばこは害がありそうだとパッと見で思いますが、あおむけと母乳については知りませんでした。あおむけについては、うつ伏せだと呼吸がしづらそうとは何となくのイメージで思いますが、母乳はなぜ…?

 

私は妊娠も出産も育児もしていないので、母乳・ミルクどっちがいいなどはわかりませんし、人それぞれ事情もあるでしょうしどちらでもいいのではと思っていました。

けれど、このように書かれていると、もし自分がミルクをあげていて子供が亡くなってしまったら、自分がミルクをあげたせいで子供が亡くなってしまったんだと自分のことを責めてしまいそうです。。。なんで母乳のほうが発生率が低いんだろう…。

 

自責の念に駆られるお母さんをこれ以上増やさないためにも、SIDSの原因が早くわかってほしいなと思いました。

 

 

赤ちゃんの頭が前後に強く揺れた時、脳の動きに合わせて、眼球も前後に揺れることになる。その際、眼球の一番後ろ側にある網膜という膜が出血する場合がある。(P123)

→ここが出血しているかどうかで、赤ちゃんが強く揺さぶられたかどうかがわかるようです。脳が頭蓋骨とぶつかり傷つき、後遺症が残ることもあるそうです。

虐待した人の発言で、泣き止まないから揺さぶった、という発言がありますが、揺さぶったって泣き止まないだろうといつも思ってしまいます。

 

 

針の先ほどの、小さな出血がいくつもできている。これは「溢血点」と呼ばれ、急死した死体に現れるサインだ。急に心臓が止まった場合、心臓を中心に循環していた体内の血液は行き場を失う。すると、静脈の中に血液が溜まっていき、細い部分が切れて出血する。これが粘膜や皮膚の表面に点のようになって現れるのだ。(P159-160)

 

 

私たちが食べているのは、動物や魚の筋肉だ。筋肉というのは死んだあと、必ず硬くなる。いわゆる「死後硬直」が起こるのだ。

死後硬直は、生き物の種類を問わず、牛や豚、鳥、魚など、私たちが食す生物の筋肉にも起こる。そしてその状態を観察すると、死後どのくらい時間が経っているのかを推定することが可能だ。(中略)死後硬直の程度は、肘や膝、手指といった間接を動かしてみて、どのくらい動かしにくくなっているかで判断する。死後半日程度で反応は一番強くなり、その状態がおよそ一日続いたのち、次第に軟らかくなっていく、死後3、4日ほど経てば、すっかり元の状態にもどる。(P211)

 

 

イワシのような小さい魚は、たいてい何匹かまとめてパックに入って、売られている。この時、魚の形がまっすぐではなく、反ったような形になっていることがある。これもまた、筋肉の硬直による反応なのだ。時間が経過して筋肉の硬直が解けてしまっていれば、身が軟らかくなり、小魚は反ったような姿を保つことができない。つまり、体が反っている魚は死んでからそれほど時間が経過していない。小魚に限らず、サンマなど細長い魚についても、体が反っているものを選ぶとよいだろう。(P213)

→人間の死だけではなく、その知識から食べ物の鮮度(というか死後どのくらい経っているか)までわかるのは驚きました。

 

 

作品の中で印象深かったのは、マンガのバナー広告にもなっていた、脂肪吸引を受けた後エコノミークラス症候群で亡くなってしまった女性(P162)についてです。

脂肪吸引が直接の原因とは言い切れないものの、手術後血液が固まりやすい状況のなかでベッドの上なりで安静にしていたのであれば、こうした要因が血栓を作った可能性は高いとのこと。

せっかく綺麗になるために、自分に自信を持つために、大枚はたいて痛みも我慢して脂肪吸引を受けただろうに。。。それが原因でまさか亡くなってしまうなんて。。。

 

最近は整形が身近になっていて、手軽にできるようになっていますよね。整形したいと言う小学生が増えた、という記事も目にしました。

私自身整形しているので、容姿に拘ることが別に悪いことだとは思いませんが、見た目だけではなく健康を害する可能性があることもきちんと考えないといけないですよね。

可愛くなれる!自信を持てる!といういい面だけではなく、健康被害が出たり、将来こうなるかもしれないという悪い面もしっかり調べないといけないなと思います。

クリニック側は商売だから良い面を大きくアピールするのは当たり前なので、受ける側は自分で責任を持って調べないといけないですね。

 

若返り効果~と言われているヒアルロン酸注入だって、皮膚が伸びてたるむ→また注入する→たるむ…の無限ループになる可能性があるし、目を大きくする手術(目尻切開とか目頭切開とか)をすればドライアイなどになる可能性もある。

今回作品に書かれていた内容のように、死に繋がる可能性もある。(傷からの感染症とかもあるかもしれないですよね。)

そういったリスクがあることも、ちゃんと知っておかないといけないですね~。