IT素人を説得する技術〜相手を説得し納得させるエバンジェライズ(伝道)の極意
黒音 こなみ
2021/08/07
★ひとことまとめ★
IT素人の頃の、初心を思い出しました。
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
本書はIT素人とのやり取りに苦労している方に向け、自分の身を守る「理論武装」を各自で行えるよう、著者が経験したサポート業務や、私生活での相談対応時のノウハウをまとめたものです。
本書の前半(第1章から第4章)では問題の整理を行っています。「彼らと付き合うと大変なのはなぜ」?を紐解き理解することで、あなた自身の心構えも変わり、その後の実践集へと、スムーズに入ることができます。メンタル面も含めての、武装前の下準備といったところです。
第5章から第9章が実践編となります。コミュニケーションの基礎である、「聞く」「教える」「断る」、「説得する」という状況ごとの理論武装と、IT素人が絡むビジネスシーンでの危険回避の方法について、ご紹介します。
本書は次のような方を対象としています。
・パソコン、スマホに関しての基礎知識がある
・ある程度のトラブルは、ネット検索を駆使して解決することができる
・私生活、または職場でのIT関連の相談対応でストレスを抱えている
・人間関係を大切にしたい
■目次
第1章 彼らとの付き合いはなぜ大変か
第2章 問題の背景にあるものは
第3章 視点が変わるとストレスは減る
第4章 効果的な理論武装のために
第5章 聞く
第6章 教える
第7章 断る
第8章 説得する
第9章 危険信号を事前に察知せよ!
【感想】
タイトルを見て、読んでみたいな~と思い手に取りました
私はITに関して玄人と呼べるほどではなく、ITに関する仕事を初めて5年目くらいの若造です。
ですが、一度ITの便利さ&危険さを知ると、知らなかった頃の気持ちを忘れてしまいがちです
お客様と話していても、「なんで(便利さor危険さ)をわからないんだろう…」と思ってしまうことが多いです。自分も昔はよく分からないまま、危険な無料ソフト使ったり、安全か分からないゲームアプリをインストールしていたので、人のこと言えないのに。。。
なぜIT素人を私はうまく説得できないんだろうか?昔の私は、どう説得されたら「便利だor危険だ」と思えただろうか?と考えながら読みました
作法を知らないのはもちろんですが、システムが自分の意図を勝手に理解して、ベストアンサーを返してくれるという過信からです。(P40)
お客様や、自分の両親もそうですが、「この(Numlockの解除の仕方、スクリーンショットの撮り方etc)やり方が分からなくて」と聞かれることがあります。私からすると「Googleで検索したらいいのに…」と思ってしまうんですよね。
ただ、そういう場合、そもそも相手は「なんてワードで検索したらいいのかわからない」「検索しても出て来なかった」ということが多いです。そもそも、”上手い検索の仕方”がわからないんですよね。
よく仕事でも上司から言われるのが、知りたい情報を調べることができる(目的の情報にたどり着くことができる)ということも、1つの技術だと言うことです。本当に分からない人は、知りたい情報を調べるための調べ方すら知らないんですよね。まずそこを教えてあげないといけない。
こうした過信は各場面で、的はずれな発言や行動を引き起こします。特に、自己防衛がモットーのセキュリティを過信した軽率な行動は個人、企業を問わずに、情報漏えいなどの甚大な被害を生むことになるのです。(P41)
いや~これは本当によくあるんですが、「マルウェア?いやいや、自分は大丈夫だから」という言葉をものすごく聞きます。
「なぜそんなに自信満々に自分は大丈夫と言い切れるのか」と不思議ですが、私もセキュリティに詳しくない時は、漠然と、自分には関係ない話だな~と思っていました。変なサイトも見ていないし、流出して困る情報もないし、等
けれど、今は恐ろしくて仕方ないです。便利な反面、「自己防衛」するしかないんです。誰も守ってくれないんです。情報が流出しても、誰も助けてくれません。一度流出した情報は消去することはできません。
私はパスワードも強度の高いものをサイトごとに使い分けていますし、スマホにも有償のセキュリティソフトを入れています。
にもかかわらず、利用していたコンタクトレンズのECサイトから個人情報が流出しました。コンタクトレンズショップが攻撃を受けて、会員情報が流出しました。お詫びはクーポン数百円。。。。
クーポンなんていらないんです。。。一度流出した情報は消去できないので、延々と迷惑SMSが届きます。ブロックしても、別の番号から送られてきます。
こういうことが実際にあるということをいくら説明しても、自信満々に「それでも自分は大丈夫。」とおっしゃる方もいます。
そういう人は、残念ですが何か(マルウェア感染など)がないとわからないんだろうな~と思ってしまいます
IT素人が抱く過信は、相談者にも及びます。(中略)彼らからすれば、相談者は病気を患ったときに駆け込む医療機関―それも、どの分野の症状でも診てもらえる総合病院です。(P42)
詳しくないからこそ、聞けばなんでも答えてくれるだろうと思ってしまうんですよね~。私もメーカーの方に質問するときには、質問先が違う場合は教えてほしいと一言言うようにしています。
専門外の人に質問しても、相手にとっても迷惑ですし、レスポンスもその分遅くなるので自分にとっても良くないので。。
難なく解決してくれるだろうという憶測で持ち込まれる案件は、その実、要領を得ない説明で状況把握が困難なトラブルや、業界の常識を欠いた無茶な要求であることが少なくありません。(P47)
「何言ってんだ?」と思うような質問をもらうことが稀にあります。何度聞いても「どういうこと?」という理解不明な説明…。
詳しい人であればもっと端的に説明ができるのでしょうが、詳しくない人はそもそもどうやって説明したらいいのかも分からないんですよね。
詳しくない人と話すときは、自分も詳しくない人の土俵に立って話をしないといけないです。
免許がなくても、タクシーに乗れば好きな場所に行けるのと同じように、自分でITを使えなくても、それを代行してくれる人がいれば、事足りるという考えなのです。(P49)
私は、誰しも最低限のITリテラシーは学ぶべきだという考えを持っていますが、こういう考え方もあるよなと最近思い始めました。
自分では勉強せず、専門家に丸投げ。確かに、時間もかからないし、専門的なことはプロに頼むほうが良いのかもしれない。。。
パソコンやスマホの場合は、インターネットの仕組みやソフトウェアの操作方法を、一から丁寧に説明してくれる、万能のマニュアルは付属しません。
一から初心者の状態で購入しても問題がない機器とは違い、これらは自動車と同じで、ある程度の前提知識を持っているユーザー向けなのです。(P52)
パソコンやスマホは持ってないと不便な時代になりましたが、持つために免許も資格も必要がないので、持ったところで素人では十分に使いこなせません。(電話、カメラ、LINEくらいならできると思います。100%使いこなせてるかというと、私でさえ使いこなせてないと思います。)
機能が使いこなせないだけならまだしも、どれだけ危険かということも教えられていないので、危ないアプリや危ないサイトを利用してしまうこともあるかもしれません。
自分で調べないと誰も教えてくれないんですよね~。キャリアが開催しているスマホ教室もありますが、任意参加ですし、そもそも「自分は大丈夫」という過信がある人はわざわざ申し込まないと思います。
全ての人にボランティアでスマホ教室なんてできませんが、せめて親や仲のいいお客様には使い方や危険性は教えるようにしています。親のパソコンにもウイルス対策を入れたりもしました。
免許制はさすがに行きすぎだと思うけれど、初めて持つ人には1時間程度の講習必須とかにしたほうが良いと思いますね…。(パスワード管理の仕方とかも含めて)
「IPアドレスって何?」インターネットを使うときに必要な、電話番号みたいなものだよ。大きくは2種類あって、「グローバルIP」っていうのが、普通の電話番号。「プライベートIP」っていうのが、内線番号みたいなものだよ。(P82)
普段IPアドレスは「住所」と言い換えていましたが、「外線」「内線」という言い換えもアリだなと思いました。
相手のメリット、デメリットを強調する。(P92)
メリットを伝えることは良くしていますが、(使わないこと、買わないことによる)デメリットはあまり伝えていなかったので、今後はデメリットを伝えることもしてみようと思いました。
「何もしてない」という相手の主張に逆らわない。(中略)「何もしてない」の背景にある、「自分は悪くない」という主張が改まらない限り、そこを刺激すれば、争いが勃発してしまう。(P106-107)
トラブルがあった時、かなりの頻度で聞くのがこの言葉です。「何もしていない」=「機器が勝手に壊れた」=「自分は悪くない」なので、うまく伝えないと「おたくの機器が悪い」「不良品を掴まされた」という流れになりかねません。
実際私のお客様で、機器を雨の吹き込む窓際に設置していて、雨の日も窓を開けている方がいました。機器購入から2年程度で壊れてしまったのですが、不良品なので無償で代替品を用意してほしい、と言われたことがあります。
その時も、「何もしていないのに勝手に壊れたのだから」と言われました。
雨が吹き込むところに置いておいたら、故障する可能性が高まるのは私からしたら”当たり前”ですが、あまり機器に詳しくないお客様にとっては”当たり前”ではないわけです。
当時の私はそのことに気が付かず、火に油を注ぐ形になってしまい、とても大変でした。。。
早とちりは間違った解決を招く。冒頭の話を聞いただけの段階で、盲目的に解決までの道筋を立てるのは大変危険。(中略)表に出ていない部分に重大な情報が隠れている可能性が高い。(P118-119)
・何に困っているか(問い合わせてきた理由)
・どんな経緯か(最初にいわれたこと以外も掘り下げて聞く)
・どうなれば解決か(要求を鵜呑みにせず、対応方針を相手と共有する)(P120)
文中の例は、「マクロの有効化のポップアップが出てきたがどうしたらいいか?」という相談に対し、「ポップアップを消すこと」を解決策としてしまった。結果、実はそれは悪意のあるファイルで、マクロを有効化したことでマルウェアに感染してしまったという内容でした。
どうなったらゴールなのか?それは本当に正しいゴールなのか?をきちんと確認しないと、さらなるトラブルを引き起こしてしまいます。
ありそうで怖いな~と思いました。。。
「説明」の場合は、相手を納得させることに主眼を置く。概略やたとえ話だけで理解してもらうことも可能。
「指導」の目的は、相手がツールを使えるようになること。概略やたとえ話だけでは不十分。ツールを使うのに、過不足のない情報を提供する(P122-123)
説明は結構得意だと思うのですが、指導となるとまだまだ自分の知識も足りないなと思います。けれど、自分だけの知識量ではどうにもならない時は、メーカーさんなどを頼るようにもしています。。
自己責任の範疇では使えますが、消費期限切れの食べ物と同じで、問題が起きても販売元は一切責任を取らないと、保守を打ち切っているんです。(P150)
OSのサポート終了などの説明の時に、”消費期限切れの食べ物”という言い方をまねしたいと思いました。
キーパーソンの中にIT素人がいると、IT関連の提案は理解されず却下されてしまう可能性がある。(中略)必要に応じて、挨拶やプレゼンの機会をもらう。(P199)
いままさにこの状況のお客様がありますね。。経営層がセキュリティを重視していない。必要だと感じていない。
何年も何年もかけて説明していくか、実際に脅威にさらされないとなかなか考えは変わらないんですよね。。。
ITは日々進化しているし、便利になる分それを悪用した攻撃も増える。。。ITについて勉強し続けることに心折れるときもあります。。。
ちょっと立ち止まっていると、すぐにまた新しいサービスなどが発表されてしまうし…
素人の方がITについて勉強しようという気が起きない気持ちが分かるような気がします。。。
けれど、今のIT化社会でスマホやパソコンを使わずに生きていくってことは無理だし、勉強し続けていくしかないんだよなあ