田嶋春にはなりたくない
白河 三兎
2021/05/18
★ひとことまとめ★
読み終わったころにはタージを好きになっているはず
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
正しいことを正しいと言って、何が悪いんですか! 史上最高に鬱陶しい主人公、誕生! 一流私大の法学部に在籍する女子大生「田嶋春」、通称タージ。曲がったことが大嫌いで、ルールを守らない人間のことは許せない。そのうえ空気は、まったく読まない。もちろん、友達もいない。そんなタージが突撃した「青春の謎」には、清冽で切ない真実が隠されていて――。読めば読むほど、不思議とタージが好きになるかも! ?
【感想】
田嶋春というタイトルを目にしたときに、「カタカナにするとタージマハルだなあ~、結婚相手が”田嶋”さんで、タジマハルって名前になっちゃうから嫌だ!とか、そういう話なのかな?」って、全然見当違いの考えを持っていましたww
久しぶりに読んだ後ニヤニヤというか、甘酸っぱい気分になる小説でした
両親は弁護士で自身は検事を目指し、馬鹿がつくほど真面目で、ルール違反や非道な行いを正していく女性大生・田嶋春。
サークルのメンバーはそんな彼女を”タージ”と呼び、融通の利かない彼女を嫌煙していた。どんなに周囲から煙たがれ無視をされてもゴーイングマイウェイのタージ。
彼女と関わった人々は、はじめのうちは周りと同じく彼女を煙たがるが、徐々に彼女のペースに巻き込まれ感化されていく。
正論をぶつけられたときに「鬱陶しい」と感じるのは、どこかで本人も後ろめたい気持ちがあるからなんですかね。
図星を突かれて反論ができないけれど、素直に非を認めることが恥ずかしい…それを相手のせい(鬱陶しい、ウザい等)にしているのかな~と。
ド正論を言ってくるタージのことを始めのうちは「鬱陶しい」と言っている人たちが、各々の過ちと向き合い徐々に素直になっていくストーリーは私も読んでいて気付かされるものがありました。
人に好かれることよりも自分の信念を大切にしていて、自分自身を一番大事にしているタージ。
「世の中のみんなが自分ばかり大事にしていたら、人類は滅ぶのでは?」という先輩からの質問に対し、
「滅びません。一人一人が最高にハッピーになろうとすればいい。なれた人がなれない人を助ければいいだけ。世界平和は簡単なこと。」とキッパリ言い切るタージはすごいなあ…
タージの信念にはブレがなく、”消去法”を嫌い、どんな困難と思えることでも逃げずに挑戦する姿勢は見習わないといけないな~と感じました。できない理由を探さず、何事にも臆することなく挑戦をする。。。
そんな生真面目なタージが、好きな人に対しタージらしい距離の詰め方でアプローチしていく最後のお話は本当に読んでいてニヤニヤしました
きっと表紙&裏のイラストは、タージの小躍りなんだろうな
とても読みやすいお話なのでサクサク読めました
天然に見えつつ検事を目指すだけあって観察眼が鋭く、筋の通ったタージの考え方は読んでいてハッとさせられる部分もありました
久しぶりにこのような小説を読みましたが、かなりハッピーな読後感だったのでおすすめです