1冊まるごと佐藤可士和。[2000-2010]
ペン編集部
2021/05/02
★ひとことまとめ★
あのデザインもこのデザインも!
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
いまや日本を代表するクリエイター、佐藤可士和。
ユニクロや国立新美術館などの一大プロジェクトから伊丹米などの意外な仕事、村上隆との知られざるコラボまで、この10年のあらゆる作品を網羅した新装版。クリエイティブ哲学に迫る章は必見!
【感想】
国立新美術館で開催されていた佐藤可士和展に行きたかったのですが、コロナの影響もあり行くことができず(5/10までの会期も短縮されて、4/24で終了してしまいました)。
見に行きたかったな~という思いを捨てきれず、こちらを読みました
ちなみに、佐藤さんの出身地と私の地元は同じ区でした知らなかった~
そもそも私は、佐藤可士和さんがどのような人なのか?ということはざっくりとしか分かっておらず、企業のロゴや建物のロゴ、商品のパッケージなどそういったものをデザインするデザイナーさんだと思っていました。
実際、UNIQLOのロゴ、ヒートテックのロゴの作成や、
明治学院大学のロゴなどの作成をしているのでその認識は間違いではなかったのですが、本を読んで
「デザインだけではなく、デザインとビジネスを繋げる仕事をしている人」だということがわかりました
ユニクロの柳井さんと佐藤さんの対談で、
「ある企業のひとつの商品の広告を担当しても、それは”点”であって、もっと企業全体をブランディングすれば根本的な問題解決ができるのに」(P17) と言っているように、デザインをただの広告として使うのではなく、企業の経営戦略や組織のリブランディングという、経営改革のために使用するという考えを持っているということが分かりました。
柳井さんとの対談で、「僭越ながら…適任だと思いました(笑)」と佐藤さんが言っているところが印象的でした。「自分が適任です」って自信を持って言えるって、よっぽど今までの実績や、自分の仕事に対しての自信がないと難しいですよね
私が見に行きたかった、佐藤可士和展が開催されていた国立新美術館のロゴも、佐藤可士和さんがデザインしたものです。
これもただ何も考えずに見ると「一見バラバラに見える直線だけれど、よく見ると感じの”新”」って感じに見えるのですが、このデザインには「”開かれた美術の場”をコンセプトに、「新」の文字はすべてのエレメントを開くデザインとなった」という意味が込められているようです。
また、明治学院大学に関してはロゴの作成だけではなく、スポーツチームのユニフォームの一新、学内のカフェのデザイン(なんど食器やメニューに至るまでトータルでデザインしたとのこと)、さらに自身も客員教授として就任するなど、まさにトータルで大学のブランディングに携わっています
ちなみに、NTTドコモの携帯電話のデザインも行っていたそうです。
N-07Aはフォントも全て作ったそうです
キッズケータイの丸いフォルムには「昔、小学生がランドセルにつけていたお守りの現代版」で、”守る”というメッセージを込め、繭をイメージした、という意味があるそうです。
あと有名なのは、TSUTAYA。
この時の依頼も、単にロゴを作ってほしいという依頼ではなく、「20年先のTSUTAYAを一緒に考えてほしい」というブランド戦略に関する依頼だったようです。
様々な有名企業のロゴデザインなどが載っていますが、中でも私がなるほどなと感じたのはLoftの部分です
「10年前とは広告の考え方も全然違う。いまはポスターをポンと作っても効かない。みんな、手に取れるものが一番リアルなんです」
「広告キャンペーンとして紙袋をたくさん作ろう」
ロフトで買い物をし、紙袋を持ち歩くことで、客は知らず知らずのうちに、ロフトの広告を待ちに流通させるメディアの一部となっているのだ。(P124)
→バレンタインやクリスマスなどのイベントごとに違うデザインの紙袋を用意する 季節ごとに違う可愛い紙袋なら、取っておいたりプレゼント用にも良いし、それを持ち歩くことでLoft側は広告にもなるんだから、どちらにとっても嬉しいですよね。
【佐藤可士和クリエイティブ語録】
・アイデアが出なくなる恐怖が、いつもあった。この2~3年、その恐怖がなくなった。いまは衰える気がしない。
・プレゼンの際、どんな質問がきても、答えられる自信がある。いつもトレーニングをしているから。1000通りの答えを常に用意している。
→才能に恵まれた一流の方でさえ、1000通りの答えを常に用意しておくくらい準備しているのだから(だから一流なのかもしれないのですが)、一般人の私はもっともっと準備しないといけないと思いましたね…。。。
・再検証を何度も重ねる。そうすると、論理がぶれなくなる。
・複製可能なものが好き。だからデジタルが好き。
・子どものころから絵を描くのが好きだった。そして子ども心に印刷物っていいな!って思った。
とにかく一度印刷してしまえば、描いたものをなくしても、同じものがすぐに作れるから。
→子どもだからこそ?無くしちゃっても印刷すればまた作れるって思った出来事があったんでしょうか
?
子どものころに思ったこと考えたことって、大人になるまでずっと忘れないというか、やっぱり大きな影響を与えるんだな~と思いました。
読めば読むほどほど、あれもこれもそれも!!佐藤可士和さんが関わったものばかりで驚いたのと、幼稚園までデザインしていたとは知りませんでした
ちなみに今回私が読んだのは2010年までのものですが、2020年までのものも出版されています。そちらも機会があったら読んでみようと思います
恥ずかしながら、私は普段ロゴやデザインを目にした際、そこに込められた意味までは考えていませんでした
これからは、作り手の人がどのような思いを込めてそのデザインにしたのか、そういった部分まで考えて見るようにしたいと思いました