19冊目:絶唱 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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絶唱

湊 かなえ

2021/04/14

 

 

 

★ひとことまとめ★

イヤミスではない湊さん作品です本

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

悲しみしかないと、思っていた。でも。死は悲しむべきものじゃない――南の島の、その人は言った。心を取り戻すために、約束を果たすために、逃げ出すために。忘れられないあの日のために。別れを受け止めるために――。「死」に打ちのめされ、自分を見失いかけていた。そんな彼女たちが秘密を抱えたまま辿りついた場所は、太平洋に浮かぶ島。そこで生まれたそれぞれの「希望」のかたちとは? 〝喪失〞から、物語は生まれる――。

 

 

【感想】

どんな作品なのか全くわからず読んだのですが、いつものようなイヤミスではなく、阪神淡路大震災と、オセアニアの”トンガ王国”をテーマにした、実話に近いフィクションです。

恐らく、阪神・淡路大震災を経験した湊さん自身のお話と、同じく阪神・淡路大震災を経験した人々のお話が短編で書かれています。

 

完全な実話というわけではないかもしれませんが、湊さんの経歴を調べてみると

「大学卒業後アパレルメーカーに就職して1年半勤務の後、1996年〜1998年の2年間青年海外協力隊隊員としてトンガに赴任、家庭科教師として栄養指導に携わる。」Wikipediaより

との記載があるので、恐らく青年海外協力隊としてトンガに行ったときに出会った人物や、自身が経験したことをベースに書かれているんだろうな~と推測ができます。

 


そもそも「絶唱」という単語は、

 

1 非常にすぐれた詩や歌。「万葉集中の絶唱」
2 感情をこめ、夢中になって歌うこと。「演歌を絶唱する」 goo辞書より

 

という意味なのですが、この作品のタイトルの場合は「2」の意味だと考えられます。

 

 

阪神・淡路大震災で、家族を亡くしたり、海外からのボランティア隊員に心を救われたり、大切な人を亡くした人々のエピソードが計4話、その中の最終話「絶唱」がおそらく湊さん自身のお話かと思います。

 

「絶唱」を読んで感じたのは…産まれて一度も経験したことのない大震災が急に起きた時、自分中心(自分の家族や自分)になってしまうのは仕方ないんじゃないかなと思ってしまいました。親友の安否まで気が回らなくても仕方ないというか…、それを非情という人もいるかもしれませんが、人間誰だって自分が大事(本能的に)だと思います。もちろん余裕のある時であれば心配もしたかもしれませんが、非常事態ですからね。。

せっかく助かった命なのに、非情だと責められた本人は一生その言葉を背負って、後悔しながら生きていくことになるなんて…悲しいなと思いました。

 

また、作中の”尚美さん”の助言から、作家の湊かなえさんが生まれたといっても過言ではないと感じました。もし、この方が「日本語で何か書いてみたら?」と助言をしていなかったら、「告白」などの作品も世に出ていなかったと思うと、”作家・湊かなえ”さんの生みの親はこの方なんだ、と思いました。

そして、この方の助言によって湊さんはこの「絶唱」を書こうという気持ちにもなれたようなので、湊さんにとってとても大きな存在の方だったんだろうなと思いました。いまはもう亡くなってしまったとのことですが、それも含め湊さんに大きな影響を与えたということがよくわかる作品でした。

 

私は、湊さんの作品を何冊も読んでいますが、正直言って初めて読んだ「告白」の衝撃を超える作品はありません。言い方は悪いですが、自分が読み慣れてしまったということも含め”マンネリ感”がありました汗

イヤミスを狙おうとしている感じというか…大体こう来るだろうなという予想が当たってしまうというか。真梨幸子さんもそうですね。


ただ、今回この作品を読んで、湊さんのミステリー以外も読んでみたいなと思いました。なかなかイヤミス作家というイメージが付いている中、別ジャンルを書くというのは難しいかもしれませんが、希望のある物語というか、ハッピーエンドで終わるような作品も読んでみたいなと。

 

人々のどろどろした部分って、どのコミュニティにいてもあるし、特に女のコミュニティだとそういうのも多いのでイヤミスも共感ポイントはあるのですが、なんというか色々と暗いニュースも多い世の中なので明るい、希望の持てるお話も書いてみてほしいな~と思いましたひらめき電球