13冊目:迷-まよう- | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

迷-まよう-

アミの会(仮) 大沢在晶・乙一

近藤史恵・篠田真由美・柴田よしき

新津きよみ・福田和代・松村比呂美

2019/03/08

 
 

 

★ひとことまとめ★

読みやすくてサクッと読めます。

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

はじめてのひとり暮らし、旅先、迷路、父か母か。そして、俺の人生を狂わせた、憎いあいつを殺してしまうか…。誰もがいつでも迷っている。迷うほどに、心を揺さぶる。短編の饗宴。最強の作家集団、四たび集結。全作品書き下ろし。

 

 

【感想】

アミの会(仮)の毒殺協奏曲を読んで、気になったのでまたアミの会(仮)!

毒殺協奏曲よりも、いい意味で万人受けする感じだった!

毒殺協奏曲のほうが堅い感じがしたかな?

 

・未事故物件(近藤史恵)

憧れの仕事に就き、憧れの東京で一人暮らしを始めた初美。

けれど、ある日から夜な夜な聞こえるようになった上階からの洗濯機の音。不動産業者にたずねてみると、上階に人は住んでいないという…

 

これは結末にゾワっとしたなあ~!未事故物件っていうタイトルそのもの…。

彼女の迷いは、上階の様子を見に行くか行かないかということかな?

行かなくて正解だった…。

 

 

・迷い家(福田和代)

マヨヒガ、迷い家。裕福そうな屋敷で、高価な物はあるが、人間の姿はどこにもない家。マヨヒガは、迷い込んだ人間に一つだけ良い品物を与えるという。それを使うことで、富が得られる…。

飲みすぎて目を覚ますと自宅で寝ていた敏行。ポケットには陶器のぐい呑みが。

なんとか思い出してみると、自分は昨夜知らない家に迷いこんでしまい、その家からどうやらぐい呑みを持ち帰ったらしい。

人の気配はないが、鍋が用意されており、これは迷い家ではないかと思い、鍋を食べて、ぐい呑みを持ち帰ったのだ。

しかし冷静になり、例の家について調べてみると…

 

いやーこれは時事ネタというか、ニュースにもなった内容だよね。内容そのものではないけれど、そういう組織?プロ集団?について。

 

現実には迷い家なんて都合のいいものはないのかね~!

 

 

・沈みかけの船より、愛をこめて(乙一)

離婚しそうな夫婦、子供の視点で、どちらについていくのがより合理的かつメリットがあるのかというのを迷いつつ見極めていく話。

乙一さんの文章って、優しいんだよね。読みやすいって意味の易しいではなく、誰も傷つけないような優しさというか。

このお話も優しいお話なんだけれど、他の作品に比べると面白みみたいなものがなかった気がする。淡々としている感じ。

優しいお話ではあったんだけれど、ミステリーっぽさというか、考えさせられる感じはなかったかな。

乙一さんの作品はいろいろ読んできたし、好きなんだけれどね。

 

 

・置き去り(松村比呂美)

このアンソロジーの中で一番良かった!

異国の地で、置き去りにされる恐怖。

たった少しの気の迷いのせいで、荷物も奪われ、さらにどん底に落とされる。

助けがあって本当に良かったし、結果的にハッピーエンドでとっても良いまとまり方だった!

まるで自分がその立場に陥ってしまったようなハラハラ感がある。短いのに読み応えある上に、スッキリとした終わり方だから読んでいて気持ちがいいお話。

 

 

・迷い鏡(篠田真由美)

ちょっとファンタジーなお話だったなあ。

人の心を迷わせる鏡。それに迷わされる人々。

お話はまあ読みやすかった!でも、急にファンタジー感が出てきてついていくのが難しかったというか!

それよりも作中に出てきたヘルマプロディット(調べたらヘルマプロディートスらしい)は初めて知ったのでためになった!

ギリシャ神話に出てくる神様で、あまりの美貌にサルマキスという女性の妖精から一心同体にしてくれ!と神に願われ、願いの通り、一心同体にされてしまう…。

そのため両性具有になってしまった、ヘルマプロディートス…。

可哀想に…。

 

 

・女の一生(新津きよみ)

悲しいお話。けど、和子の気持ちはとても良くわかる。

選択肢や道で迷うとき、同時に両方は選べない、どちらを選んでも後悔してしまう。

だから、選ばなかった方を選んだ自分が、もう一つの世界で幸せに生きていると思うことにした。

現実は幸せとは言えない。自分の不注意から子供が亡くなり、夫とは離婚、実家に戻るも母はやけどし、兄の子供は骨折。

誰にも迷惑をかけずに生きてきたはずなのに、兄嫁から言われた「迷惑千万」という言葉。

あのとき、違う路地を走っていたら自分の子供は…

しばらくした後、父も母も亡くなり、ある決心をする和子。

 

最後がとても悲しい。なんというか、マッチ売りの少女のよう…。

悲しい現実、だけどマッチをつけてるときだけは幸せな夢が見られるような…。

和子の頑張りが報われてほしかったし、幸せな道に、現実で進んでほしかったな…。

 

 

・迷蝶(柴田よしき)

これはまんまと騙されたなあ!

迷った結果、道を踏み外すよかった。

けれど、あまりにも恨むにしては、殺したいと思う理由にしては、薄いんじゃないかなあと。。

大切な人が、誰かによる間接的な原因で亡くなってしまったら、その誰かのせいにしたくなっちゃうのかな。

誰かのせいにすることで、憎むことができるし、気持ちの矛先ができるよね。昇華できない気持ちって本当に辛いだろうね。

 

 

・覆面作家(大沢在晶)

いま有名になりつつある覆面作家が、かつての自分の友人の妻なのではないかという疑問。

作家である自分が、亡くなる前の友人から預かった原稿。自分の書く小説とそっくりなストーリー。友人が亡くなったあとも、友人の書いたものを発表することもできず、ずっと手元に持ったままだった原稿。おそらくこの原稿は覆面作家である友人の妻も書くのを手伝ったのではないか?

彼らの作品だが、作品は自分の書く小説にそっくりなため、っ発表は難しい。彼女に渡せば、彼女は迷うことになる。

ってお話。

 

読みやすい書き方だったから、最初からお話のオチがわかったけれど、終わり方が、あら?これでおわり?って感じだったかな。その先は読者の想像にお任せスタイル。

彼女は原稿を受け取ったあと、どうするだろうね。

おそらく発表しないんじゃないかな~。

 

 

毒殺協奏曲のときは、おもしろいお話と、読みづらいお話(失礼だけど)が顕著だったんだけれど、迷はどれも読みやすくて、捨て(←失礼)がなかった!

アミの会(仮)のコンセプトがいいよな~

まさにいろんな作家さんとの出会いの場になっている。

同じお題なのに、こうも違うとは!って思う。

次もアミの会(仮)を書くつもりです!