85冊目:かわいそうだね? | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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かわいそうだね?

綿矢りさ

2018/11/12

 
 

 

★ひとことまとめ★

自分を大事にして生きようと思える本!

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

私の彼は元彼女と同棲中……週刊誌連載時から話題を呼んだ表題作と、女子同士の複雑な友情を描く「亜美ちゃんは美人」の2篇収録。

 

 

【感想】

ブランチの本で紹介されていたので読みました!

 

・かわいそうだね?

アパレルショップで働く樹理恵は、大学を卒業するまで海外で生活をしていた隆大と付き合っている。そんなある日、隆大から元カノのアキヨを無期限で自分の家に住ませようと考えていると聞かされる。そして、宣言通り、隆大は元カノのアキヨを家に住まわせることに…。

樹里恵は職場の後輩から「先輩、かわいそう」と言われながらも、それでもこのおかしな三角関係と付き合っていこうと努力するが…

 

獣になれない私たち が今ドラマでやっているけれど、元カノを住まわせようとする馬鹿は世の中に一定数いるんだろうか?それが驚きです。

愛しているのは君だけ、けどあいつは俺しか頼る人間がいない。だから助けてあげないといけない。ってなんだそれ、どんなヒーローだよ。

樹理恵が後輩の綾羽にアキヨをかばうような話しぶりをするのもわかる気がする。じゃないと自分のプライドを保てない。

 

「どれだけ最新のアイテムを社割で買いそろえてても、私はよれよれのピンクのブラウスを着ている女に負けるんだ。」(P32)

社会的に勝ってる負けてるで言ったら、確実にアキヨが負けてる。人の家に住み着いて、めそめそしてさ。でも、女として勝ってる負けてるで言ったら、アキヨが勝ってるかもしれない。どんなにおしゃれして頑張ろうが、ぼやーっとしてる女は自分の彼氏と同棲してるわけで。

だめな女のほうが男の支えたい欲が満たされるんだろうか。

 

「大きなショックを受けると、転げ落ちてきた大きな岩石が胸にのしかかる。いきなり岩石の下敷きになった人間は全力でもがいて、なんとか状況を脱出しようとする。

(中略)でもどうしても岩石をどけられなかった場合、どうすればいいか。私にとっての解決法は、深く考えないこと。アキヨさんの存在は見えてるけれど見えないふりをして、そのまま大好きな隆大と付き合い続けること。」(P42)

見て見ぬふりしても、絶対そのツケが来るんだよね。自分のこと虐げてるのと同じなわけだし。

 

「玄関のスイッチを押すと今日もちゃんと電気が点くのは、私が一人分の電気代を毎月ちゃんとコンビニで払い込んでいるから。蛇口をひねれば水が出て、コンロのスイッチをひねれば火が点き、コーヒーのためのお湯を沸かし、浴槽にたっぷりお湯を張れるのは、私がちゃんと水道代とガス代を払っているから。偉すぎる。自分自身をちゃんと養って、社会にも迷惑かけてない。」(P95)

最近まじで同じこと思う。社会に迷惑かけずに生きてる。それだけで偉いよ~辛くてもお仕事して自分の給料の範囲で好きなことして好きなもの買ってる。偉いよ~って。結構末期だよね。

 

終盤の樹理恵の覚醒モードがすっきりしたなあ。自分の気持ちを押し殺していても、いいことなんてない。絶対そんな関係は破綻する。

獣になれない私たちの晶にも同じことを言いたい。どんなに好きでも別れたくなくても、自分の気持ちを押し殺してはだめだ、、、

 

 

・亜美ちゃんは美人

さかきちゃんも美人。でも、亜美ちゃんはもっともっと美人。

美人な親友とずっと一緒にいるときの苦しさがひしひしと伝わってきて非常にきつい気持ちになった。

「Aのそばに張り付くAダッシュ」ほんとにこれはわかる。。。とくに、新歓コンパ部分が読んでいて一番きつかった。。。

 

「初対面の男子たちは残酷なほど正直で、めんどくさいフィルターはかけずに、見た目だけで二人の関係性を結論づけていた。

しかしきっと男の人が思うほど、女友達どうしのなかに”役割”があるわけじゃない。

この子はお姫様だけど、この子はいくらからかってもいいとか、まるでテレビのなかのアイドルと女性のお笑い芸人のようにやうしゃすと立ち位置を決めたがるが、女同士の世界でははっきりした立ち位置などなく、みんな同じだけ価値のある女の子として存在している。」(P160)

まれに自分のことお姫様って思ってる女はいるけど、おおむねそのとおりだよね。でも、私くらいの歳になると、女って、男から見た自分の立ち位置を即座にわかってしまって、そのとおりに振る舞う、期待通りの振る舞いをするって技を身に着けてるんだよね。アイコンタクトすら取らないけれど、私盛り上げ役やるわ、なら私は~みたいな、合コンでも絶対この暗黙の了解みたいなのがある、と思ってる。

 

実際、友達の結婚式の二次会で男の人から言われたんだよね。

「君はいま一緒に来ている女友達のなかでの自分の立ち位置がわかっている?もっと君は、自信を持って男にアピールしたほうがいい。」みたいな。

私達女は暗黙の了解で「今回は全員ナシ。なので私は盛り上げ役やります、なので○○はニコニコしてモテそうなポジをお願いします、△△は男に興味ないような感じで~」みたいな役割分担になったのね。もちろん打ち合わせなんかはせず、アイコンタクトとそれぞれのテンションで見極めてたけど。

私は男に興味ないです~って感じでろくに男と話してなかったところ、言われたのが上記のセリフ。

ようは自信もちなよ!君ならいける!と言いたかったらしいが、しらねーよ!友達とのなかの自分の顔面偏差値とか役割とか、こちとらそんなこと考えて参加してねーよ!ただお前らがそうやって決めつけたがるんだろ!だから演じてんだろうが。って思っちゃったな。

だからこういう場ってつかれるんだよなあ。女同士ならそんなこと考えずにいられるのに。

 

「人間の基準なんて、ほかの人間との比較がすべて。人々は二人をさっとながめ、瞬時に品定めをして優劣をつけて、亜美を上等、私をにせものの粗悪品だと判定する。いままでも、学校や街で、私は亜美と散々比べられてきたのだろう。」(P163)

つらすぎる。

 

「自分自身が満たされれば、亜美への嫉妬もなくなるんだ。」(P179)

これは本当にそうだと思う。人へ嫉妬の気持ちがあるときって、自分に自信がないとか、満たされてないからなんだよね。満たされていれば、気にならなくなるんだよね。

 

なぜみんなが憧れて、崇拝していた亜美ちゃんが、さかきちゃんを親友に選んだのか。それがわかった部分は少し悲しくなったなあ。

 

このお話は少し自分を重ねて読んでしまった。前職がまさにそうだったからなあ。美人な先輩。なまけてても仕事もあんまりできなくても遅刻が多くても服が適当でも(失礼)、誰が見てもきれいと思う美人。

私も別にブスではないけれど(自分で言っちゃう)、どんなにテキパキ仕事をしてもおしゃれしても遅刻しなくても美人な先輩には追いつけない。同じ評価をされることはない。

先輩に悪意なんてない。亜美ちゃんみたいに、いい人。だからこそ、こっちが惨めさを感じる。

そこにフォーカスあててたって、いいことなんてなんもないのにね!

 

私は今の職場でむしろ先輩みたいなポジションになってると思う。見た目ってよりは、年齢でだけれど。いわゆるお局と呼ばれる人にさんざん嫌がらせされてるし。

女性同士なら、ここまでにはならなかったと思う。でも、職場の男性たちも役割を決めたがる。あの子は新人、あの人はお局みたいな。

自分が年齢の話をすれば「しっ!年齢の話はだめだよ!」ってわざわざ言ったり。そういう言葉が、余計拍車をかけてるのに。

気にしてないのに、「あの人は気にしているから」って周りが言うことで、本人だって気にするようになる。

平等に扱ってくれたらいいのに。無理か。

さかきちゃんみたいに、自分を満たして、気にならなくなるしか方法はないんだろうな。