ちぐはぐな部品
星新一
2018/01/01読了
【感想】
本棚整理。2018年1冊目。
大好きなコレクションの一つ
30話のショートショートが盛り込まれている1冊。
なかでも自分のお気に入りの話は、
・宝島
実業家のアール氏は、秘書と海岸を散歩中、宝の地図を発見する。
秘書とともに宝探しの旅に出る。
いくつのの島をめぐり続け、船は傷つき、燃料も底を尽きそうに…。
しかし幸運なことに、ある島で店を発見し、船を修理することができた。
ただ、こんな人が来ないような島で、どうして経営できているのか???
それは…。という話。
店の主人のアイデアと、自分の愚かさを人に話せない心理をついた良い宣伝方法だと思った。
・抑制心
語り手は吸血鬼だし、ほんとに数ページくらいのお話だけれど、そうなんだよね、うんうん、って感じられる話。
最後の一つって、非常に取りづらい。
・鬼
桃太郎の新しい解釈の仕方というか、確かに鬼のストーリーって考えたことがなかった。
なぜ鬼が村を襲うようになったのか?
桃太郎が桃太郎になったのか?がわかるお話。
そして、最後の一行。
「逃げる方が鬼なの?追っかけるほうが鬼なの?」
は、そう考えるとどちらなのだろうと思ってしまった。
逃げるほうが村人というイメージだったけれど、このお話を読むとはて、どちらなのか?と思ってしまう。
・壁の穴
家でぼんやりとしていると、急に見に覚えのないナイフがおいてあった。
そのナイフで壁に穴を開けると、過去や未来のいろんな風景が見られる。
日常の退屈さが紛れるが、その分どんどん自分のいる世界への不満が募っていく。
けれど、結局はナイフは消えてしまい、自分はいまの世界で生きていくほか無いのだと気づく。
いろんな世界が見れてわくわくできるのはいいけれど、人にも話せない、そちら側には行けない、気づいてももらえない、
ただ見ているだけというのは、なんとも虚しい気持ちになってしまうのだろうと感じた。