日本の風俗起源がよくわかる本
樋口清之
2017/03/29読了
・礼儀作法とは心身ともに豊かに生きていくための秩序のスタイルであり、強制されるものではなく、社会自体が必要に応じて生み出し、個人個人が自発的にそれを行動に移してゆくべきものである(P12)
・「左側通行」
刀を左にさしていたため。右側を歩くとぶつかる可能性がある。江戸時代からは作法として左側を歩くことが決められた。(P24)
・「敷居はなぜ踏んではいけないのか」
1つ目は、敷居を踏むとゴミや砂が入って、引き戸が動かなくなるため。
2つ目は、ちょうど敷居の横が畳の隙間になっているため、
そこから刀を差し込まれると刺されてしまうため。これは畳の縁も同じく。(P35)
・「上座」
日本の礼法の基準では、左上右下(さじょううげ)
左が上位、右が下位というしきたり。
お雛様は紫宸殿(ししんでん)における天皇の位置をヒントにしたもの。天皇は高御座に乗って真ん中にあり、第二座は天皇から見て左側に皇后がいらっしゃる。こちらから見て左側が男雛で、右側が女雛になる。左大臣のほうが、右大臣よりも位が上。(P37)
・「夫婦間の呼称」
夫は「おひと」妻は「連れ身」からきた言葉。おまえは最高敬語の「お前様」
あなたは方角を指す言葉から来たもので、あちらの人という意味。
直接表現では失礼ということで、間接表現で夫のいる方角を言った。ちなみに一人称の「おれ」は「あれ」からくるもので、もともとは女言葉。(P51)
・「くん」「ちゃん」「さま」
さま=姿のこと。
との(殿)=もともとは高い床に住んでる人の意味。
とのがなまると、「どん」になる。
さん=さまがなまったもの。ちゃんはさんの幼児語。(P54)
→君=尊い人、目上の人、高位の人を呼ぶときの言葉だったが、それが愛しいものや尊敬する人に使われるようになり、さらに2人称を指す言葉になるなど、かなり変化を遂げた言葉。読みが変わって「きみ」から「くん」になった様子。
・「尾頭つき」
日本人は形が完全なものに対して非常な喜びをあらわす頭から尾まで完全に揃っているということで縁起のいいものになる(P66)
・「精進料理」
仏教では殺生禁断思考があり、生き物を食べるのはタブー。
生き物を食べない=功徳
肉の他に、ニラ・ネギ・にんにく・酒もだめ。
法事に精進料理を食べるのは、死者は永遠の修行を続けている、その日だけでも死んだ人にあやかって精進料理を食べようということ(P82)
・「着物の着方」
右前=右側のほうが肌にくっつくという意味。
なぜ右前かというと、多くの人が右利きであり、右前だとすぐに懐に手が入れられる。
倒れる、失敗することを「オシャカになる」というが、これはお釈迦様が左前の着物を着ていたから。(=人が死ぬときは左前の死装束をきせる、死に近くなる、財が傾く、ということ)(P90)
・「色直し」
元来結婚式は神を祭り、神に仕える式。女は神を祭る人だから、神仕えの服装=白装束を着る。
お色直しは、神に仕えた女が人間の女に戻ったという意味の儀式。色直しをしてから宴会をする。色直しは神の祭典の終了を示す服装である。(P112)
・「水引・のし」
かつて中国から来る輸入品には、すべて箱に赤と白の縄がしばってあった。
中国ではただの輸出品という意味だったのが、日本ではめでたいものと思われたのが由来。一見無駄に見えるが、日本では結ぶことで魂が宿ると考えられていて、
これがあるものはたんなる物品ではなく魂である、という意味になる。
のしは、「のしあわび」というあわびからきた言葉。(のしあわび=あわびも含めた、魚類という意味で使われた。)
昔から鮮魚を贈る習慣があり、のし、つまり魚類をつけた贈り物はそれが実際なんであろうと「実はお酒」という意味になった。魚類を送るのが退化し、印刷になり、のしになった。のしの原体はあわびなので、魚類を贈るときや、肉や卵を贈るときにも重複するということでのしはつけない。(P141)
・「大晦日」年越しそばの由来
江戸時代、大阪の金銀細工師たちは一年の仕事を終えると、飛び散った金粉・銀粉を集めるために、そば団子をつかってぺたぺたくっつけて、そば団子を燃やすと集めた粉だけが残る、という作業をしていた。そばを食べると金が集まる、翌年もよく金が集まるように、となった(P165)
・「神社参拝」
拍手を打つ理由は、手を打つことで空気を振動させて、その力で神を呼び寄せるため(P168)
【感想】
普段何気なく接しているものや、行為・行事の由来がわかり、ためになった。
尾頭は御頭だと思っていたし、色直しもただの自己満だと思っていた…。神様とか、そんな思いが込められているなんて気が付かなかった。。
ちょこちょこ古事記のことや、神々のことがでてきて、よみやすくてよかった!