※この話は、期間限定でアメブロのみの公開を予定しています。
▼前回の話
すぐに息子へLINEした娘は、
やり取りを始めました。
私は、しばらく横で見ていましたが、
娘からは『帰ってくるみたいだよ』
と聞かされました。
いま都内から電車で、家の方に向かっているらしく、
娘には、とりあえず駅に迎えに行くことをLINEさせました。
二か月近く消息のなかった息子に、
何と声を掛けるべきか、一瞬迷いました。
それを察した娘は、
『余計なこと言わない方が良いよ』と。
『当たり前だろ、ただ、警察に世話になったり、心配かけたことは伝える』
と言い残して、
息子を車で迎えに行きました。
ーー
すでに駅で息子は、待っていました。
二か月前に家を出たままの姿でした。
着ていたコートや背中のリュックも、
あの日のまま。
少しは浮浪者のように、
薄汚れた姿を想像していましたが、
全く変わらない様子に逆に驚きました。
私の車に気付き、
助手席に黙って乗り込んだ息子に一言。
『おかえり』
少し照れたように息子は、
『ごめんなさい。ただいま』と。
息子からは話しづらそうだったので、
『それにしても、すごいな。
この寒空の中。どうやって生きてたんだ?』
と切り出せば、
息子は笑いながら
『いやーマジできつかった』と。
未遂に終わった自殺のことや、
その後の生活のことを饒舌に語りだしました。
楽しげに話す息子の話を聴きながら、
よほど誰かに聞いて欲しかったんだろうな。と感じました。
その時、不思議と息子に対しては、
怒りや、何かを伝えようという気は起きませんでした。
ただ息子の話だけに、耳を傾けていました。私にとっても、純粋に興味深い内容だったんだと思います。
そのまま息子を乗せて、
私は警察署へ向かいました。
無事に戻ってきたことの報告と、
これまで捜索に協力してくれた感謝を伝えるために。
その後の『家族の崩壊』──帰ってきた息子【完】
▼この話は続きます。
▼ その後の『家族の崩壊』第一話
▼最初の自殺騒ぎ『家族の崩壊』




