警察署を出て、息子を家に送り届け、
そのまま私は仕事に向かいました。
息子には、
『ママにちゃんと謝ってな。
毎日心配して泣いてたんだから。
自分のことすら、ままならない人間を悲しませるな』と言い残して。
息子は『わかった』と言って、
家に入っていきました。
仕事に向かう車の中で──
ふうっと大きく息を吐き気持ちを落ち着かせると、嬉しさが込み上げてきて、
目の前の景色が明るくなった気がしました。
──警察署では、
担当の警察官から親子ふたりで説教をされて、ひたすら謝罪。
『もうしない』という約束を
息子はさせられていました。
最後は穏やかな顔で警察官から、
『良かったですね。お父さん』とだけ。
似たような話は毎日あり、
正直とても構いきれないというのが、
本音のようでした。
その夜、仕事から帰ると、
リビングで息子は、
妻と笑いながら話していました。
妻は笑いながら、
『ねえ、聞いた?自殺の話。
やばくない?本当に死んでたかもよ?』
と、あっけらかんと。
息子は私の方を見て、
照れ笑いをしながら、
『すいません。迷惑かけました』と。
私も冗談めかして息子に、
『頼むよ。マジでもうやめて。
2度目とかなくない?
仕事にならないし、警察に怒られるし』
──息子は平謝り。
妻の笑顔にホッとしながらも、
「ほんと、うちは変わってるな」
と思いました。
その夜は息子の話で、
大いに盛り上がり。
久しぶりに家にも、
明かりが戻った気がしました。
その後の『家族の崩壊』──戻った笑顔【完】
※最終話に続きます。
▼ その後の『家族の崩壊』第1話
▼最初の自殺騒ぎ『家族の崩壊』



