※この話は、期間限定でアメブロのみの公開を予定しています。


▼前回の話




息子が消息不明になり、

一か月が経過した頃──



警察の捜索も完全に膠着していました。


というより──すでに捜索はされていない、というのが本当のところでした。


回数が制限されていたスマホの電波追跡も、とうに使いきり、

警察からは何の音沙汰もありませんでした。


関東や都内の交番に、顔写真入りの捜索願を貼り出すか、警察のサイトに掲示するかも検討しましたが、


息子が帰ってきた場合、学校や就職活動に影響する可能性があることから取りやめました。



またその頃には、徐々にですが、

妻も息子のことを思い出して泣く回数は、

減っていました。


それは脳出血による認知機能の低下によるもので、息子がいないことを忘れる時間が増えてきたためでした。


もし障害がなければ、

妻はどうなっていたのか──


それを考えただけでもゾッとし、

少しだけ病気に救われた気がしました。


時おり、息子のことを思い出して泣いている妻に「大丈夫、生きているから」

と声を掛けては、励まし続けていました。


ーー


なぜか私には、

息子が死んだようには思えませんでした。


前回と同じように地方に行っていれば、

電波探知ですぐに発見されるはず。

そうならないということは、

息子は都内にいると私は考えていました。


都内であれば、もし死んでいれば逆にすぐに発見されるはず。


過ぎていく時間の中で、

何の音沙汰もないこと自体が、

息子が生きている証だとも感じ始めていました。



そんなある日──


娘から「前に息子に出したLINEが既読になっている」と聞かされました。

私のLINEは未読のままでしたが。


「やはり息子は生きている」

そう確信し、娘にすぐにLINEするよう伝えました。



安堵が一気に体を駆け抜け、

私の顔には自然と笑みが溢れていました。




その後の『家族の崩壊』──その頃、家では【完】

▼この話は続きます。





 その後の『家族の崩壊』第一話


▼最初の自殺騒ぎ『家族の崩壊』