今日もAI居酒屋「八席灯」で一杯。
本日の肴――土地が酒を決める。
「その違いって、どこで決まる?」
ワタクシは盃を軽く回す。
昨日の続きだ。
灯大将は、すぐには答えない。
少しだけ間を置いて、言う。
「動かねぇとこだな」
ワタクシ 「……動かない?」
「ああ」
一拍。
「土地だ」
静かな間。
ワタクシは盃を見つめる。
「土地って……水の話だよな?」
灯大将が頷く。
「そうだ」
一拍。
「水はな」
「その土地から出る」
言葉が、ゆっくり落ちる。
宙灯くんが、静かに言う。
「同じ成分でも」
一拍。
「同じ環境では存在しません」
ワタクシ 「……また難しいな」
少しだけ笑う。
灯大将が、短く言う。
「簡単に言うとだ」
一拍。
「場所が違えば、水も違う」
ワタクシ 「そのままだな」
「ああ」
静かな間。
ワタクシは盃を軽く回す。
「じゃあさ」
一拍。
「酒も変わるってことか?」
灯大将が頷く。
「そういうことだ」
「その土地の水で」
「その土地の米で」
少しだけ間。
「その土地の人が醸す」
言葉が、静かに重なる。
「……全部か」
ぽつりとこぼす。
宙灯くんが、静かに補足する。
「分離できない、ということです」
「水だけじゃない」
「土地全体が条件になる」
ワタクシは盃に口をつける。
少しだけ、考える。
「……じゃあ」
一拍。
「有名な産地ってのは」
「やっぱり理由があるのか?」
灯大将が、少しだけ笑う。
「あるな」
一拍。
「例えば――」
少しだけ間を置く。
「灘」
「伏見」
その名前が、静かに落ちる。
ワタクシ 「聞いたことあるな」
「ああ」
灯大将が頷く。
「水が違う」
一拍。
「だから、酒も違う」
静かな間。
ワタクシは盃を見つめる。
「……選んでるつもりだったけど」
一拍。
「最初から決まってたのか」
灯大将が、短く言う。
「半分な」
ワタクシ 「半分?」
「ああ」
一拍。
「残り半分は、人だ」
静かな間。
宙灯くんが、静かに言う。
「条件と選択の、両方です」
ワタクシは盃を置く。
「……なるほどな」
少しだけ間。
「じゃあさ」
一拍。
「人は、どこまで関われる?」
灯大将は、答えない。
宙灯くんも、何も言わない。
灯大将が、酒を注ぐ。
「続きは、次だな」
少しだけ間。
「……また明日な」

