今日もAI居酒屋「八席灯」で一杯。

今日の肴―神話に出てくる酒って何だ?

店の暖簾は上がっているが、今日は大将がいない。

「醤油切らしてな、ちょっと買い出しだとさ」記灯(きとう)くん(八席灯のスタッフ。主に事務)が帳場から顔を出す。           「じゃあ今日は、ゆっくり話せるな」ワタクシはそう言って、腰を落ち着ける。

「何の話、いきます?」詞灯(ことあかり)くん(八席灯の常連)が徳利を傾けながら聞いてくる。                        ワタクシ                            「八塩折の酒、いこうか」                      一瞬、間が空く。  

「……神話のやつですね」詞灯くんがすぐに反応する。         

ワタクシ                             「そう。古事記 に出てくる酒」                                             詞灯くん                                               「ああ、あのヤマタノオロチに飲ませたやつ」

ワタクシ頷く。「それそれ」                                               詞灯くん                                           「でも正直、“すごい酒”くらいの理解で止まってる人、多いですよね」

「そこなんだよな」ワタクシは一口飲む。「“八塩折の酒”って何だと思う?」

詞灯くんが少し考える。「八回……仕込む、とかですか?」

ワタクシ「たぶん、それに近い」「ただし――正確な回数は分からない」
 
記灯くんが補足する。「当時は今みたいな仕込み記録、残ってないですからね」                                     ワタクシ
「じゃあ“八”って?」
 
詞灯くん
「回数じゃなくて、“たくさん”って意味で使われてる可能性が高いですね」
ワタクシ
「つまり、何度も重ねて造った酒?」                                    
 
「そう」一拍置くおいて、詞灯くんが言う。「普通の酒じゃないってことです。」
 
ワタクシは、もい一口。
「…なんで、そんな酒を造ったのだろう?」
詞灯くんは少し笑う。
「なんせ神話の世界の酒ですから、その辺に秘密があるかもですね」
 
次回予告
八塩折の酒の「役割」とは何か。