回想録⑬からの続きです。
聞き取りからおよそ1ヶ月後、ファーストプランの提案をしていただくために、エムズさんの事務所に伺いました。
まず間取り図を見せてもらいました。
第一印象は「すごく良い」でした。
さすがに即採用とはいかないものの、聞き取りで要望した基本的なことが全て盛り込まれており、如何にして僕たち夫婦の要望を実現できるか考え抜かれた跡を、十分に見てとることができました。
また、要望した覚えはないのに、建具は全て引き戸とされており、そういう何気ない部分について、暮らしに対する考え方の近さを感じられました。
なにより、建物全体の中で、あるべき部屋があるべき位置に収められていて、各部屋に対する感覚的なものが僕と近しく感じられた点が、驚いたと同時に嬉しくもありました。
聞き取りの時に抱いた心配は杞憂に過ぎず、ファーストプランでは要点だけを汲み取って、それ以上のものを最初から全力で提案するというのが、エムズさんの考え方であることが理解できました。
間取りに対する印象は、妻も概ね同じだったようで、上から目線で大変恐縮ですが、提案力としてのエムズさんの力量は十分に感じられました。
次に見積書を見せてもらいました。
これまでに簡易なものからそうでないものまで何社かの見積書をいただいてきましたが、この序盤でエムズさんほど詳細な見積書は見たことがありませんでした。
おそらく選択できるほぼ全ての仕様が載っていると思われ、基本的な仕様の何を何に変更すればどれだけ価格に反映されるかが分かりやすく書かれており、今後エムズさんと話を進めていくにあたって、自分たちが予算的にどういうビジョンを持つべきであるかが一目瞭然でした。
建物本体価格の詳細な内訳、付帯費用はもちろんのこと、外構工事、エアコン、カーテンに至るまでもが項目立てられているため、これらを全てエムズさんで揃えてもらった場合を含む、必要経費の上限と下限が一目で分かるようになっていました。
必要経費のうち載っていない項目といえば、標準外の照明、家具家電、銀行保証料、火災保険料、登記費用くらいでしたが、これらは元々エムズさんに支払うものではないので当たり前のことで、間取りさえビシッと決めてしまえば他社との比較が容易にできる、そんな見積書でした。
金額についても、僕が最初に若干高めにお伝えしていたせいで本当の予算よりはやや上回っていましたが、仕様をうまく取捨選択することによって、お伝えしていた範囲内には収めていただいていました。
この時点で、僕たち夫婦の気持ちはほぼ決まっていたのですが、その日はとりあえず持ち帰って、エムズさんに家づくりをお任せするかどうか、後日返事をすることにしました。
⑮に続きます。
この週末は、娘の運動会でした。
子どもたちが大きくなるにつれ、一緒にいられる時間には限りがあることを実感させられます。
それと同時にいつも思うのは、もっと早く家を建てて、子どもたちを自由に遊ばせてやれる環境を整えておけば良かったなあということです。