「この緊急警報の理由を教えてくれないか?」
最近名前しか登場していなかった悟が少し顔を強ばらせつつ聞く。
というのも、彼には既に答えが分かっているからだ。
警報の理由も、何故自分の顔が強ばっているのかも。
「…フォーリナーは、世界各地に多数のヴァラクを投下」
オペレーターは今の状況を説明するため、先に世界の状態を口にする。
「ヴァラクの攻撃によって世界中で大きな被害が出ています」
「おいおい… あんなのが世界中で暴れ回ってるのか? 大きな被害って問題じゃないだろ…」
「この地にも2体のヴァラクが進行してきました」
「…だよな。あんなでかい化け物が2体もいるなんて、俺は自分の目を疑ったぜ」
悟が臆病風に吹かれる中、ストーム1+αの人員が到着した。
海理が相変わらず不機嫌な顔で入ってくる。
「…ストーム1、全員到着しました」
「うむ」
司令官が返事をし、とりあえず全員座る。
白衣の男(結城)は現在、とある開発チームと何かをしているらしい。
何でも、最終調整中だとか…
「…では、続けてくれ」
司令官が頃合いを見て、オペレーターに主導権を譲る。
オペレーターが頷くと同時に、モニターに幾つかの画像が表示される。
「これを迎え撃つため、最新鋭のALレーザー銃で武装したオメガチームが現地に展開しています」
そもそもレーザー銃自体が最新鋭だろう、という突っ込みは誰もしなかった。
いつの間にか最新鋭のセントリーガンを開発していた事もあり、開発部には少しばかり常識は通用しない。
ALレーザー銃とは、単射式のレーザー銃です。
Aとは空気の意味を示し、これまで試作されたレーザー銃に比べて格段に重量が軽い事を示しています。
Lはそのままレーザーを示しています。
一発のレーザーに膨大な熱量を持たせることにより、軽量ながら最新式のMMFに近い破壊力を実現しました。
なお、EN供給関連がかなり簡略化されているので、ENパック交換での次弾装填を可能としています。
ただし、単射式であるために火力は全ての試作レーザー銃の中で一番低いです。
ある程度の量産を既に行っているので、全員で1つの目標に向かって一斉掃射するべきだと思われます。
…では、頑張って下さい。by結城
「念のためにレンジャーGにも向かって貰っていますが… ストーム1も援護に向かってください」
「れ、レンジャーG?」
「ゴリアスランチャーを標準装備としたレンジャーチームの精鋭です」
「ちなみに、オメガチームとは?」
「既存の実弾兵器ではなく、レーザー銃などの特殊兵器の運用をするために創設された部隊です」
「…なるほど」
「では、現地へ向かって下さい。…くれぐれも気をつけて」
-------------------------------------------------------------------------------------------
「一体やったぞ!」
「倒したぞ!」
ストーム1が到着した頃には、既に一体のヴァラクが横たわっていた。
「これが、ALレーザー銃の一斉掃射の火力…」
『…何て威力だ。あのヴァラクが、いくらゴリアスランチャーもあるとはいえ…』
『撃破までにかかった時間は約1分です』
「速!?」
空音と、ベガルタの悟が同時に驚愕する。
約1分で簡単にやられてしまったヴァラクは、非常に可哀想に見えた。
だが、問題は山積していた。
「隊長! ALレーザー銃が動きません!」
「こちらもです!」
「くそ、私のも動かん! …本部、応答願います。殆どのALレーザー銃が故障したようです」
『故障だと?』
「あくまでも推測ですが… 発射する際の熱に耐えられなかったか、または地震に耐えられなかったのかと」
『…地震だと?』
「ヴァラクは超巨大生物です。これまでの蟲型巨大生物より大きく、また重さも相当なものです」
『…それが横たわる地震に耐えられず、内部の機器が破損したとでもいうのか?』
「あり得ないと思われるでしょうが、現状ではそれが唯一の可能性です」
『おい! 止まれよ! そんなに走り回ってたら当たらないだろ!!』
悟の場違いな声が無線に響く。
この会話中、悟はベガルタを使って最前線(見方によっては格闘戦)をしていた。
色々な機能が追加されているベガルタだが、その機動性と旋回性能だけはどうにもなっていない。
結果として…
『ああもう、いい加減に止まれ! 踏んで逃げるな!』
まさに踏んだり蹴ったり状態のベガルタ10号機。
あれだけの重量を持つ生物に何度も踏まれているため、流石のフォースフィールドも限界を迎えていた。
『くそっ…』
「…大半のALレーザー銃は故障、ベガルタもやられた。…無理があるわね。うげ」
リクが冷静に思考を進める。
と、悟が横っ飛びしながらベガルタを飛び降りた。
そこを駆け抜ける、嵐の如きヴァラク。
言うまでもなく爆散するベガルタをバックに疾走する様は、まさに駆け抜ける嵐であった。
だが。
『…何とか間に合ったようですね』
『博士、調整に時間がかかりすぎですよ』
『仕方ないじゃないですか。まさか熱エネルギーがあんな動きを見せるとは… 帰ったら皆を集めないと!』
『そんな事より、例のアレを』
『…少々重いですよ』
遠くから赤い閃光が走った。
それは狙い違わずヴァラクに当たった。
凄まじい速度で皮膚の表面を焦がし、溶かして内部を露出させる。
3秒ほど照射されると一旦閃光は途切れ、2秒ほどしてまた飛んでくる。
合計で12秒程照射されると、ヴァラクは力尽きて地面に倒れた。
「…零式か」
「ええ。…威力は秒間6000、純粋な一撃の威力は100と言った所でしょうか」
「3秒まで照射可能なんだろ? 完璧に零式だな」
結城がいつの間にかリクの隣に立っている。
それを遠くから眺める怜香。
…何と言うか、結城に常識を語ってはいけないようだ。
『欧州からの情報です。マザーシップの砲撃によって、大都市が次々と廃墟となっています』
「…これも規定事項ですか?」
「当然。じゃなきゃ無理にでも欧州に行ってるわよ。…うげ」
『犠牲者は百万人を超え、被害は今も拡大しています』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
作者コメント♪
どうも、目指すは「混沌の追跡者」なキセノです。
「カオス・チェイサー」と横文字にしてみると何だか格好良いですね。非常にどうでもいいわけですが←
ホントに文量だけはあるのが驚きですね。
一体何があったんでしょうか←