始めに言っておきますが、今回は数学教育ヲタクでないと面白くない記事だと思います。
対象範囲が狭くてごめんなさい。
僕がツイッターでフォローしているさる先生という小学校の先生がVoicyを始めていて、最近よく聞いています。
彼はICTに長けているだけではなく、効率的に物事を進める技術に長けていることと、決して攻撃的な発言をしないところ、上からものを言わないところが僕は好きで、ずっとフォローしているんです。
小学校教員のインフルエンサーはほかにも実はたくさんいるのですが、ちゃんとフォローしているのは、この人だけなんですよね。
と言うのも、小学校と中学高校の先生の仕事って、ちょっと違うので、参考になる部分ががっつりあるわけでもなく、たくさんフォローしても僕の仕事には反映できない情報ばかり拾うことになるので。
そのさる先生のVoicyで「乾きもの仕事と生もの仕事」ってキーワードが入っていた回を聞きました。
この表現ってすごくいいなって思ったんですよね。
ニュージーランドって、休みががっつりあるんです(その代わり、有休をとることはできません)。
つまり、たくさんあるホリデーをがっつり休むのもあり、仕事するのもあり。
でも、仕事をすると言っても、僕らの仕事って、どうしても生徒の様子とかで変わってきてしまいます。
例えば、授業計画を立てても、コロナで出席率が落ち込んできたら、スピードを下げるしかなくなってしまったり、「授業で円を描かせて計測させよう!」って思ったりしても、雨が多くて流れてしまったり。
だから、ホリデー中に何をやったらいいかって言うのは、結構考えないといけないんですよね。
そこで、前回のホリデーの時にやっておいてよかったって思った仕事と、さる先生の言っているこの議題がマッチしたので、ここに記しておこうかと。
実は、前回のホリデーは、家族の具合が悪かったり、車の修理をしなければならなかったり、雨季だったりしたので、旅行にはいかないことにしたんです。
なので、家にいるたくさん時間があったので、夢中で「やんしん流教科書」を作りました。
めちゃくちゃ時間がかかりました。
じゃぁ、なんでそんなことをしたの?って話をちょっとさせてください。
僕が持っている新入生の学年と、高校1年生の学年は、代数を3学期で学ぶ予定だった。でも、僕は常々英語の問題集や参考書の代数の部分が気に入らなかったんです。英語圏は、学校によってカリキュラムが全然違ったりするので、万人受けするような問題集を作るとすると、コンセプトごとにブツブツに切り離された問題集しかないんです。
ちょっと意味が分かりにくいですよね。
深く説明すると、例えば、日本では代入と等式変形って呼ばれる部分ってのがあります。
代入は、x=1の時、y=ー2x+3のyの値を求めよってやつです。
代入は1次方程式の当たりに学び、そこから1次関数y=ax+bにつなげることができます。
等式変形はy=2x+1を「x=」の形に変形しなさいってやつです。
これって、1次方程式の後に学ぶべきなんです。
と言うのも、1次方程式を解くと右辺や左辺をどういじればいいかという感覚がわかり始めるからなんです。
そこから等式変形を学び、そこで連立方程式を学ぶ。
連立方程式では、等式変形と代入をたくさん使います。
つまり、この流れで教えると、生徒の頭の中でいろんな技術がくっついて、先生が教えなくてもある程度生徒は先を見通すことができ、だからこそ発展問題に取り掛かれる心理的、時間的な余裕が生徒に出てくる。
じゃぁ、現地の問題集を使って、その順番で教えればいいじゃんって思うじゃないですか。
でも、それがダメなんです。
教えたい複数の技術が混在してしまって、上手く行かないんです。
このプリントやってもいいけど、あれをまだ習ってないから、この部分は理解できない。
で、その部分を教えるとしたら、30分は必要だ。
とか言うことになってしまうんです。
それが嫌だから、自分で慎重に問題を選んで、僕が教えやすい順番で「やんしん専用教科書」を完成させたんです。
新入生用の教科書は2日間。
高校1年生用の教科書は4日ぐらいかけて完成させました。
全部問題をタイピングして。
英語の教材からコンセプトを抜き取ったのもありますが、基本は日本の教科書を参考に。
なので、英訳したり、こっちの教育課程に合うように順序を調節したり。
そんなこんなで完成した教科書。
実際使ってみると・・・完成度は思ったより低かった(笑)
紙がもったいないから、ぎっしり詰めてしまったりしたせいで、生徒に「3ページの問題3を解いてね」って言った時に、生徒がすぐに見つけられなかったり、見せたくない次のステップを表す例題がその前の問題と同じページに載っていたり…。
でも、使い勝手は抜群。
そして何より授業計画が立てやすい!!!
授業計画がめちゃ立てやすいので、いつもより早くに帰れるようになりました。
これが乾きもの仕事だったんだな、とさる先生のVoicyを聞きながらピンときました。
なにが一番のポイントかと言うと、ホリデーが長いニュージーランドだからこそ、乾きもの仕事と生もの仕事の違いをはっきり見極めることができれば、相当効率がいい働き方ができるようになるんだ、ということ。
とても勉強になりました。
ではみなさん、よい週末を!