だから教職は辞められない。② | やんしんブログ(数学教師@NZ)

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計算と英語が苦手だったのに、今は英語で数学を教える数学教師。
奥さんはNZ人。
波乱万丈な人生の記録始めました。
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※ここでしている会話は、全部英語で行われています。

 

 

教員してると、たまに天のお告げみたいな、そんなものに操られて行動する時がある。 

 

今日の数学の授業に、去年から問題視されている生徒がいた。 

 

厳しい先生から優しい先生まですべての先生に怒られてた。 

 

怒られる理由は確かにそこにあった。 

 

集中できずにちょっかい出したくなっちゃうんだよね。 

 

いつものように、その生徒は課題を全くせずにボーッとしていた。 

 

僕はふと彼の隣に座って話し始めた。 

 

「実はね、僕は君が賢いということを知ってるんだよ。君が思うよりも詳しく、君の能力がわかってる。」 

 

普段はいらないことを言って先生方に反抗するんだけど、この時はキョトンとしていた。 

 

「なんのために勉強するか知ってる?頭を良くするためだよね。

 

頭が良くなると、いろんな面白いことができて、人生がもっと面白くなるんだ。それはわかる?」 

 

彼は頷いた。 

 

「でもさ、ちょっかい出したくなる。集中して勉強なんてしたくない。って思う自分もいるじゃん?」 

 

彼はまた頷いた。

 

「でね、2つの人生の楽しみ方が君にはあるんだよ。一つは、頭を良くして人生を楽しみたい自分。頭を良くする作業を避けて、ラクして楽しみたい自分。」 

 

じっと僕を見つめている。

 

 「どっちがいいと思う?」 と聞くと

 

 「頭を良くしたい」と答える。 

 

ここで僕は

 

 「じゃぁ、何をいますべきかな?」

 

彼は

 

 「問題を解く」と答えた。 

 

僕はこう答えた 

 

「それは半分正解だ。でも、半分は間違ってる。」

 

 キョトンとした顔で僕を見る。

 

 「この問題、できたほうがいい。でもね、実のところ、この計算ができなくても、君はそんなに困らない。」

 

「数学ってそんなもんなんだよ。」

 

 じっと僕を見つめている。

 

「この問題を解いているときに出てくる雑念とうまく向き合うトレーニングだと思う必要があるんだよ。どうやったら集中し続けられるか。どう言うときに集中が切れるのか。それを観察するんだ。」

 

 「最初は簡単じゃない。でも、絶対に今の君は昨日の君よりも賢くなってる。明日はもっと賢くなってる。だって明日の自分は、自分をもっと上手にコントロールできるんだから。」

 

「もちろん全然簡単じゃないし、僕だってできていないときがある。でも、そこで自分がハードワークすれば、その先にもっと面白い人生が待ってるんだよ。」 

 

「僕は君の人生にずっと寄り添うことはできない。でも、君の人生が楽しいものになってほしいと思っているんだ。だから、数学を使ってその方法を伝授してるわけ。」

 

彼はまだ、じっと僕の目を見つめている。

 

「じゃぁ、今やるべきことわかる?」

 

と言ったら、静かにうなずいて、必死に問題を解き始めた。

 

 彼の課題が全部終った頃に、また彼の隣に座り。

 

 「すげぇな。お前、半端なく賢くなるぞ。いやぁ、感心したよ!」

 

って万編の笑みで呟く。

 

涙ぐむ生徒の顔がそこにあった。 

 

これだから教職はやめられない。

 

 

ちなみに、この生徒は普段課題を半分も終わらせられない、今まではほとんど真面目に取り組んでいなかった。 

 

明日また崩れて学ばなくなるかもしれない。 

 

でもいいんだ。 俺はまた同じように彼と接する。 

 

いつになっても変わらぬメニューを提供する行きつけの喫茶店のように、これからも同じことを繰り返し言い続けるぜ。



※全部ニュージーランドの学校での実体験です。

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