4/30 day16
起きるとすぐわかるほどに風邪。
喉が痛い。鼻が出る。
7:45。歩き始める。やる気が出ない。
携帯が昨日から全く充電できなくなった。ケーブルの差込口がいかれているらしい。割と最近、新しいケーブルを買ったのにそれすら反応しなかった。
朝から投げやりな気持ちだった。全部どうでもよかった。歩くことだけはやめてはいけないと思った。
途中の街でスポーツショップ屋に入るとケーブルを売っていた。
地図が見られなくなるのが辛いので買う。モバイルバッテリーに繋ぐ。すぐ充電出来た。
しかしこれもまた、数日後には使えなくなるのだろう。
今日は巡礼者の気持ちではなかった。元通り、旅人でいこうと思った。これはやる気がない中で思いついた言い訳。
歩き進めると山が出てきた。どうやら上らなきゃいけないらしい。
来た道がずーっと続いている。さっきケーブルを買った街は向こうの山の麓だ。
そしてひこうき雲の十字架。今回はなかなか消えなかった。いつもすぐ消えてしまうのに。
山の向こうも一本道だ。
ずっと見ていたい風景が一面に広がる。携帯の調子が悪いので写真がない。
そのお陰で一眼レフといい友達になれた。
目的の1歩手前の街で休憩していたら、イタリアンのじいさんに再会した。
色々と可愛がってくれるのだが、無駄に手を触ってきたり顔を触ったりと、距離感が気持ち悪い。
単純にそれがイタリアンの挨拶だったとしても、この人にそれをやられるのが気持ち悪い。
カフェを出て途中まで見送ってくれたが、正直もう会いたくないと思ってしまった。
気持ち悪い。テンションの上がらない私にとってはより一層の苦痛だった。
パーソナルエリアというのは大事なものだ。そして何よりその前に信頼関係というのを築いてからじゃないと、互いに近づくことなどできない。
8キロを1時間半で歩いた。暑い。一刻も早く目的地に着きたかった。
15:15。初日を除くと1番遅い到着。
何にもない小さな村だった。
5時前に家族と久々に連絡をとる。
そう、今日は平成から令和へと移る歴史的一日だ。
私のテレビ電話は動いていないようだったが、日本の画面はリアルタイムで動いてくれた。
カウントダウンをする。
新元号の始まりだ。
まさか自分の旅が次の元号まで続いているとは思いもしなかった。
またこのタイミングで元号が変わるとも思いもしなかった。
アルベルゲから見える教会の上にコウノトリ巣を作っている。
とんでもない光景だ。
風邪ひいていると言ったら、道中の人もアルベルゲで会った人もみんな薬をくれた。
有難い。こんな投げやりな気持ちでいるのがしょうもなくて馬鹿らしくて小さく思えてくる。
明日には良くなりますように。ブエンカミーノ。




