死ぬ気でたどり着いたロンセスバジェスを7:21に出る。

アルベルゲの様子。

非常に快適だった。

今日は20キロ先のズビリという、鼻の音のような名前の村を目指す。
昨日よりは大丈夫なはず。昨日が特別しんどいだけだというのはもうわかっている。

1gでも軽くしたいので、コンディショナーとヒートテック、手袋をドネーションする。
タイでかけたパーマで髪がちりちりなのにコンディショナーを捨てる。アホだ。


オスピタレイロ(宿のボランティア)がBuen Camino!と送り出してくれる。
ブエンカミーノ。良い巡礼を、という、巡礼者たちの挨拶。
言われると、たまに鳥肌が立つ。


ロンセスバジェスを出るとすぐ山道になる。
山道の手前のスーパーでりんごやバナナを買う。
また荷物が重くなる。


途中、いくつかの村を抜ける。
牧場も抜けていく。絶景だった。
いちいち止まっていられないのが惜しい。


村を抜けている途中で羊の大群に遭遇。

けたたましく去っていった.......
残り香(💩)がすごい。

今日もとにかく歩き進める。
昨日みたいな辛さだけは避けたい。体力のあるうちに距離を稼ぎたい。

途中で出会う人達と喋りながら山を登っていく。

あの人は5回目のカミーノらしいぞ。
僕は家からカミーノを始めたんだ。
韓国ではカミーノの説明会があってな。
昨日はエストニアから歩いて旅している奴らにあったよ。

カミーノという共通事項があるので、初対面でも話が進む。
アジア人は韓国人がほとんどなので、日本人だよと言うと皆驚く。そして1人か?!are you sure?!と言う。
アジア人(99%韓国人)は、当たり前のようにアニョハセヨと声を掛けてくる。
ジャパニーズだよ、というとJAPAN?!日本人の女の子が1人で来るんだね!とびっくりする。

まわりを見てみると、女1人で巡礼している人はあまりいない。カップル、夫婦、友達同士、親子のどれかだ。

正気かよ?は私のセリフである。
でも、誰かと来なくてよかったと心から思う。ペースが違ったら本当に致命的。


昨日ほどの山道ではないので足が進む。
辛い道ではないので、色々考える。思いつくのはやっぱり直近で滞在していたインドのこと。
アシュラム生活とか、一緒にいた人とか、バラナシの景色とか、リシケシュの景色とか。


と 、途中で碑を見つけた。


疲れているし割と小さかったので普段はスルーしそうだが、今回はたまたま見た。
Shingo Yamashita さん。日本人だ。

何が書いてあるかわからないので、まわりにスペイン語と英語が話せる人がいないか探す。が、私の他にはおじさんひとりしかいなくて、彼はフランス人だった。

ただ、何となくここで亡くなったんだろうと思った。
先程調べたらやはり2002年の巡礼中にここで息絶えたようだった。

ヤマシタさんのだけでなく、この道中に十字架の碑を何度か見た。

巡礼と死。隣り合わせだ。

イスラム教でも、メッカ巡礼の途中で死ぬことは名誉とされている。
その感覚、正直わけわからん。

お花を供えて日本式に手を合わせてあとにした。



その後の休憩で楽しみにしていたオレンジジュースを飲む。
スモー デ ラランジャ。ジャケ買いならぬネーム買いをした。
普通のオレンジジュースだった。

今日はバックパックに洗濯物を括りつけて歩いた。よく乾いてくれた。

山道を歩いていたら街が見えた。
マップスミーを見てみるとズビリ村。ついに捉えた!



13:28 到着。
本日の歩き部門は終わり。

宿を決めて洗濯をして街をうろつく。
橋のたもとのベンチでゆっくりし、ウクレレを弾く。

ひと通り弾いて、ベンチに寝っ転がる。近くの川に足を入れてみる。


気持ちがいい。
ウクレレは下手くそだけど弾くのが気持ちがいい。ちょっとだけ上達すると恐ろしく嬉しい。
最初はみんな下手くそなの、という最近教わった言葉。
気持ちがいい、楽しい、やりたい、好き。これだけが大事。

今日のアルベルゲもキッチンがないので、近くの商店でパンとサラミを買う。ふたつで1.6€。
サンドイッチに4€払うのが馬鹿みたい。
ナイフを持っていないので硬いフランスパンをちぎり、そこにサラミを無理矢理ねじ込んで食べる。
パンが硬すぎて、口の中が傷だらけになる。久しぶりのヨーロッパあるあるだ。

コモンスペースで食べていると、横の食堂からいい匂いがしてくる。
みんな楽しげにご飯を食べているが、13€も払えないので私は参加しない。
おいしそうなピーマンの匂いがする。アシュラムを思い出す。
明日こそキッチン付きのアルベルゲに泊まり、野菜パスタを作るのだ。

ピーマン、トマト、玉ねぎ入れよう。ニンニクとパスタも買わないと。作り方はこの間習ったやつで。楽しみだ。


飲水がないことに気づく。買うのも癪なので汲みにいく。


飲める野生の水道はDRINKABLEとか書いてあるのだけど、これは書いていなかった。
近くに綺麗な川もあるし大丈夫だろう。

汲んでみるとちょっと土の味がした。

おやすみなさい。ブエンカミーノ!