「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」Once upon a time in Hollywood という映画の中で使われた表現です。
1960年代終わり、ピークを過ぎたハリウッド俳優、リックダルトン が活路を求めて、マカロニウエスタン最盛期のイタリアの映画に出ることに。そこで監督ともめます。リックには専属のスタントマンがいるのですが、監督は彼を採用したくないようです。
監督: 俺にはスタントマンが4人いる。これ以上増やせない。
リック: クリフが一番俺に合うんだよ。彼は何でもやるよ。リンカーンで轢いてもいい!
監督: ・・・リック・・・あいつは嫌いなんだよ。
リック: ・・・・
「あいつは嫌いなんだよ。」を英語で、
I don't dig him.
と言っています。初めて聞いた表現でした。I don't like him. と同じ意味なのですが、like の代わりに dig と言っています。dig は「掘る」という意味です。一体、なぜ、like が dig になったのでしょうか?
この映画の背景は、ヒッピー文化の隆盛期です。実話を基に作られた映画で、その時代は、若者言葉として、ヒッピーが使うスラングが流行っていました。この dig もそのうちの一つです。由来はよくわかりませんが、dig という言葉の響きが当時の若者に気に入られたのではないか、ということです。
しかし、今では使う人はあまりいません。現在、このような表現を使う人は、高齢者か、時代遅れと思われる可能性があるそうです。
1960年代後半、dig は、like や、understand や、enjoy の意味として、若者に使われ始め、次第に消えていったようです。スラングの中にも、引き続き使われるものもあれば、消えていくものもある。言葉とは、本当に興味深いものです