以前、スペイン語翻訳家の友人を訪ねた時の話です。

 

 

この過去記事、何度も出して恐縮ですが・・・お願い

 

 

上の写真にもある "Book Apartment" で本を物色しておりましたら・・・ある本が、ちょうど私の目線の高さにあり、まさに「目に飛び込んで」きたのです!

 

 

それが、こちらの『英語解剖図鑑』です。

 

 

 

 

ちょうど背表紙が孫に買ってあげた『ポケモン図鑑』と同じくらいの大きさで、つい親近感を感じてしまったのですが、手に取ってみると絵や図、写真がたくさんあってカラフルで見やすく、それこそ "言葉の『ポケモン図鑑』" のようでした。

 

 

しかも解説がめっちゃ詳しくて面白そう。2,400円(税別)と高めでしたが、一目ぼれして買ってしまいましたニコニコ

 

 

読み始めたら、ホントに面白い読み物でした。

 

 

特に言葉を ゲルマン語由来ラテン語由来ギリシャ語由来 に分けて解説してるので、とてもスッキリしてよくわかります。

 

 

たとえば・・・

 

 

「共に」という意味ではwith がゲルマン語由来、 com はラテン語由来、syn はギリシャ語由来であり、さらに「音」も sonus(ラテン語)と phony(ギリシャ語)があって、ラテン語系はラテン語系、ギリシャ語系はギリシャ語系の言葉同士で結びつきやすく、

 

 

com- + sonus = consonant(協和音の、子音)

syn- + phony = symphony(交響曲、シンフォニー)

 

 

という組み合わせができていると。ふむふむ。

 

 

ゲルマン語系ラテン語系の言葉は日常語に、ギリシャ語系の言葉は専門用語に多いというのも納得。

 

 

たとえば、「上に」はラテン語由来が super で、 ギリシャ語由来が hyper

 

 

super は supermarket「スーパーマーケット」, superman「スーパーマン」(ついでに「スーパーマリオ」もニコニコ)と、身近な言葉に多く、

 

 

hyper のほうは hyperacid「過酸」, hypercardia「心肥大」など、医療用語やちょっと難しげな言葉に多く使われています。

 

 

確かにギリシャは学問が発達していたし、そもそも難しい言葉が多いようです。英語では「さっぱりわかりません」を "It's all Greek to me."(それは私にとってギリシャ語だ)と言ったりします。

 

 

また、英語教員をやっていた時、よく「bilabial(両唇音)の前の "ン" は "n" ではなく "m" だよ」と教えていたのですが、中には "n" のままの語があることが不思議でした。理由はわからないので「例外」ということで処理していましたが、この本にはその理由が記されていました!

 

 

たとえば、普通は

 

mature(成熟した)→  immature(未熟な)

moral(道徳上の)→  immoral(不道徳な)

 

となるのですが、こういう語もあります。

 

mate(仲間)→  inmate(囚人)

born(生まれて)→  inborn(先天的な)

patient(患者)→  inpatient(入院患者)

 

 

これらはゲルマン語由来の言葉で、「~の中に」という意味の場合、後ろの音に影響されないので「n」のままなのだそうです。

 

 

ただし、ゲルマン語由来でも、否定の意味の「in」は「im」に変化するとのこと。

 

patient(我慢強い)→  impatient(我慢できない、せっかちな)

 

同じpatientでも、意味によって「in」と「im」の両方の接頭語があるというのは、そういう理由だそうです!

 

 

これ、現役の教員の時に知っておきたかったなあ・・・先生志望の学生必読書にするといいと思いますプンプン

 

 

こういった語源の紹介の他にも、英語の借用語のルーツや、 Anne の愛称が Nan や Nancy なのはなぜか、など面白い解説がたくさん載っています。

 

 

あまりに詳しいので、これを書かれた原島広至という方は大学の先生か語学博士か?と思って経歴をみると、驚いたことに学者ではありませんでした。ただの(と言ったら失礼ですが)歴史・サイエンスライターとあります。

 

 

その代わり、主要参考文献が45冊ほど書かれているので、これらを読んであれこれ研究し、わかりやすく集大成のようにまとめた本、と言えるかもしれません。

 

 

これだけの量のものをまとめるのは、気の遠くなるような作業時間と手間であったろうと、本づくりがいかに大変か身に染みてわかった私はリスペクトを感じつつ、驚嘆の声を上げながら読み進めたのでありました。

 

 

この図鑑、AmazonのUnlimitedに入っている方は無料でダウンロードして読めますが、スマホよりはタブレットなどの大きい画面で見たほうが見やすいと思います。

 

 

いや、でもやっぱり紙の本が一番ビックリマーク 何しろ、書き込めるし探しやすいし、私の本はポストイットとカラーマーカーでいっぱい。何度読み返しても楽しめる言葉の遊園地みたいになってきました音譜

 

 

みなさまもぜひ、言葉の世界で遊んでみて下さ~い照れ