昨夜、いろいろな方のブログを読んでいたら、あるブロ友さんが映画『Tar/ター』のことを書いていらっしゃいました。

 

 

WOWOWで観たら、主人公リディア・ター(ケイト・ブランシェット)が男言葉だったので違和感があったと書かれていて、あれ?そうだったかいな? と思って「吹替版ですか?」とコメントでお聞きしたら、字幕版だったと。

 

 

私が劇場で観た時は特に違和感を感じなかったので、以前に書いたブログ記事を読み直しましたが、やっぱり特に言葉遣いについては書いてなかったし、字幕翻訳者はベテランの石田泰子さんとあり、読みやすかったはずで変だなと思いました。

 

 

 

 

まあ、劇場版とテレビやDVDで翻訳者を変えることはたまにあるので、WOWOWの字幕は別の方だったのでしょう。

 

 

最近はジェンダーレスを叫ばれることが多くなり、映像翻訳でも女性のセリフに「~よ」「~だわ」といった普段あまり聞かなくなった女性言葉の代わりに「~だよ」などのニュートラルな字幕を付ける作品を見かけるようになりました。

 

 

『グッド・ドクター』もそうです。マーフィー(主人公で自閉症の外科医)の恋人リアはちょっとはすっぱな女性なので、「~だよ」という話し方がまあ合いますが、最初女性の字幕で男言葉が出て来た時は驚きました。

 

 

また、マーフィーの同僚で外科医のクレアも最近は「~だよ」と、男言葉が増えてきたように感じますが、この方は医師だし最初の頃は誰にでも女言葉で「~よ」としゃべらせていたので、合わないなあと気になります。

 

 

まあ、このあたりは個人の好みによるでしょうね。若い方はあまり気にならないかもしれません。

 

 

昨年、ある方の大学での研究論文のために、字幕で女言葉を使ってるかどうかの調査に協力したことがあります。

 

 

私は、字幕は吹替と違って読む言葉なので、普段聞かなくなった女言葉でも読みやすさを重視して使っています、とお答えしました。

 

 

読んでいて、男性も女性も「~だよ」が続くと、セリフが単調で味わいがなくなります。またキャラと合わないしゃべり方をさせると、観ていて引っかかってしまい内容が頭に入ってこなくなります。

 

 

その点、吹替ならまだ話し言葉なので、普段の言葉遣いでいいと思います。むしろ、キャラに合わせてはすっぱなしゃべり方や口汚く罵るのもありでしょう。

 

 

字幕の場合は、いくら女性が "Fuck you" と言っていても「クソくらえ」とか「チクショウ」とか、なかなかストレートには出せません。「何よ」「何さ」「ひどいわ」とか、トーンダウンさせることが多いですね。まあ、状況にもよりますが。。。

 

 

 

 

で、『Tar/ター』の吹替版、どうだったか前に字幕版を観た時から気になっていたのですが、Amazon Prime でやっていたので観てみました。

 

 

こちらは吹替版もよかったです!男言葉ではなかったですね。主人公はレズビアンで同じ楽団のコンサートマスターの女性と暮らし、養女も一緒に育てていて「パパ」と呼ばせています。が、言葉遣いは普通に女性的でした。

 

 

声優さんの声としゃべり方がケイト・ブランシェットに近くて違和感なく、よかったですわー。映画の世界観に自然に入り込めました。

 

 

前に観て気になっていたドイツ語部分ですが、大事そうなセリフは外国語を表すヤマ括弧〈 〉をつけて字幕で出していました。それ以外のオケへの指示などは吹替でもわざわざ声優さんに(ネイティブではないと分かる)ドイツ語をしゃべらせて字幕なしでしたが、おそらく制作側からの指示なんでしょう。

 

 

さて、こちらアマプラでは字幕版もあったので観てみましたがビックリ!ホントに字幕が男言葉になってました驚き

 

 

しかも、「~なんだ」「~だろ?」といったリアルに男性の話し方。

 

 

うーん、気になる。ネットでちょっと調べてみましたが、劇場版はやっぱり普通に女性言葉だったようで、ターの男っぽい立ち振る舞いに合わないという意見や、配信版の男言葉が自然だったという意見も見かけました。

 

 

ふーん、受け取り方はそれぞれだなあ。。。もちろん、昨日も書いたとおり言葉遣いは時代と共に変化していくものなので、今は抵抗ある人が多いとしても、やがてこういう作品が増えていって見慣れていくと違和感なくなるのでしょう。

 

 

まあでも、私は普段字幕派ですが、この映画については吹替版のほうが観やすいと思いました。2回目で字幕なしで観ると、見落としていた細かい描写にも気がついて楽しめました(自殺した女性指揮者の姿がところどころで写っていたとか)。

 

 

字幕の役割語については、しばらくは慎重に考えていきたいと思います。

 

 

逆に、演じている男性がどう見てもクネックネッしゃべってるおカマちゃんやステキなオネエさまで「~よね」と言わせたいとしても、クライアントから「オネエ言葉は避けてください」という指示がくることも多いです。

 

 

字幕はやはり読む言葉。わりとお堅いのです。

 

 

 

追記:コロナ感染4日目の症状

 

昨夜は鼻が詰まり過ぎて眠れませんでした。夜中過ぎにもう苦しいので諦めて、布団から出てコタツで『ター』の吹替版を観てました。その後、朝6時頃ヨーグルトだけ食べて花粉症の薬を飲んだら鼻がスーッとしてきてなんとか数時間寝ました。

 

今日はそのまま鼻水が収まってきたので、鼻呼吸が少し楽になりました。結構痰も出せるようになって日々症状が軽減している気がします。夕方昼寝ができたし、これからお風呂に入ってぐっすり寝たいと思います。