ケイト・ブランシェット主演映画『Tar/ター』を観てきました。ネタバレなしで個人的な印象・感想だけを書きます。

 

 

”ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の女性初の首席指揮者に任命されたリディア・ターが、若い女性指揮者の死をきっかけに精神的に追い詰められていく物語”

 

 

と知って、おもしろそう! 実話なのかな?と思いましたが(実話大好き)、フィクションでした汗うさぎ トッド・フィールド監督自ら、ケイト・ブランシェットを念頭に置いて書き上げたオリジナル脚本だそうです。

 

 

でも、ケイト・ブランシェットは、この映画のために、数か月間ドイツ語とピアノ、指揮の猛練習をしたそうで、確かに本物の指揮者リディア・ターになりきっていました。

 

 

 

 

さすがの存在感。それに、短期間でネイティブになりきったドイツ語!役者さんって外国語も短期間でマスターするんだからすごいわー(セリフだけとはいえ)。

 

 

そして、このポスターにもあるとおり、徐々にバランスを失う精神、狂気。

 

 

 

 

ケイト・ブランシェットは、この作品で5度目のアカデミー主演女優賞にノミネートされました。他にも、作品賞・監督賞・脚本賞など6部門でノミネートされたのですが・・・ほとんどエブエブに持ってかれたえー

 

 

アカデミー賞的には『エブエブ』よりこっちじゃないの~? ひと昔前だったら絶対取ってたと思うんだけど。(似たテーマの『ブラック・スワン』でナタリー・ポートマンは2010年主演女優賞受賞)

 

 

テーマと言えば、テーマ曲は『ベニスに死す』でも使われたマーラーの交響曲第5番第4楽章「アダージェット」。少年に恋する老作曲家、というストーリーもちょっと設定が似てる? 意識してるのかな。

 

 

そういう意味では、孤高の高みを目指し、名声と欲望に溺れて精神的に落ちていく芸術家、というのはステレオタイプと言えるかもしれない。

 

 

そして、ケイト・ブランシェットの演技は素晴らしい!それは確か。でもでも、ですよ。

 

 

こういう音楽もの(特にクラシック)はさあ・・・吹き替えで本物のピアニストに音を出してもらいたいんだなー。彼女自身が弾いてるのはすごいと思うけど、いかにも「たくさん練習したんだろうなー」というフィクション感があって、入り込めなくなっちゃう。

 

 

対照的に、彼女とアンサンブルをやったチェリストはすごかった!(まあ、敢えての対比なのかも)

 

 

この方は指使いといい、音といい、本物のチェリストだろうなと思いました。でも、今どきの優れた若い音楽家にありがちな、自由な言動でリディアを振り回す演技もなかなかなもので「女優?音楽家?どっちだ?」と思ったら・・・どっちもでした。

 

 

この方はイギリスのチェリスト、ソフィー・カウアーさん。8歳でチェロを弾き始め11歳でソロになり、13歳でオーケストラ奏者としてデビューという才能の持ち主ビックリマークしかも、映画初出演にして堂々たる演技。ロシア語なまりはYouTubeで習得したんですってびっくり(それも今どきの若者だ~)

 

 

私的には、このソフィーさん、なかなかよかったです。一推し。

 

 

あとはですねえ、リディア・ターなる女性は非常な才能と努力の人なんだけど、そういう人にありがちな強権的で周りを振り回すタイプで、しかも同性愛者でセクハラ体質という設定らしいのです。

 

 

「らしいのです」というのは、そういうシーンが少なくてよくわからなかったから。そこを前半でもっと出してほしかった。割と穏やかでにこやかに指揮をしてるシーンばかりで、パワハラ体質や極悪さが描き足りないと思いました。

 

 

そして、長い!映画には無駄なシーンやセリフはないというけれど、ところどころ、なんで入れたの?と思えるシーンがあったりして2時間半もあるけど、それなら前半20分くらい削って、自殺するクリスタとのからみがもう少し欲しかったなあ。

 

 

あと、結構出てくる謎や伏線が回収されませんでした。ターが例のチェリストを送っていき、彼女が車に忘れたものを届けに、さびれた感じのアパートに入っていくのですが、そこで見たものは誰も住んでいない廃墟と姿が見えないものの気配。。。ゲッソリ

 

 

幻聴、幻覚、妄想・・・と言えば「統合失調症」の症状です。これは、ターの崩壊していく精神を表現しているのでしょうが、どこまでが彼女の症状で、どこまでがリアルに起きていることかがよくわからず、あのチェリストの存在さえ怪しく感じられました。

 

 

ということで、観終わった後に「???」な感じも残りましたが、ラストは複雑。ちょっと余韻が残りました。これ、観る人によってさまざまな感想があるんじゃないかな(「笑った」という感想も見かけるけど「あれで良かったのかも」とも取れる)

 

 

テイストは全然違うんだけど、スペンサー ダイアナの決意みたいに丁寧で繊細な映像美で作られているので、ひょっとして2回観たらいろいろと見落としたところが見えてくるかもしれません。配信されたらまた観たいな(ところどころ幽霊のような影が見えるというウワサも・・・)ゲッソリ

 

 

字幕は石田泰子さん。ドイツ語は訳してなかったけど、気になりました。(吹替なら出るかなあ・・・? この点も配信待ち)

 

 

以上、あくまで一個人の感想でした。情報は映画のHPの "Story", "Production Note" とWikipediaを参考にしました。

 

 

 

 

 

そして、今回の劇場はいつもの新都心ではなく、浦和パルコ6Fの「ユナイテッドシネマ」でした。

 

 

スクリーン1は、やたら横長で端は観にくかった。やっぱりいつもの「Movix」に行けばよかったかな。でも、浦和駅前の行きつけのネイルサロンも行きたかったので仕方ない。

 

 

 

 

ということで、ランチもいつもの「おかゆ」ではなくロコモコ。ちょっと量が多すぎて眠くなってしまった(しかも映画の半券でアイスクリーム付き)パフェ。映画前のランチはやっぱり軽めがよろし大あくび

 

 

 

そして、来月観る映画はこれだな。

 

 

『アバター2』以来の海の世界、楽しみです♪