{3} 相手までまるくするタイプ(大阪・京都・神戸;関西の婚活小説『あなたへのドルチェ』)
第4回『あなたへのドルチェ』
この小説は、大阪・京都・神戸;関西の婚活に創業18年、約5,000組の成婚実績のある結婚紹介所エムロード
のサイト上で、連載している婚活
小説(大阪・京都・神戸;関西)『マリッジ・コンサルタント優子の結婚(婚活)物語』
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■最初から読む →{1}条件のよすぎる女性
■前回のお話はこちら →{2}10年好きだったひと
多田謙治、31歳。
福島のはずれで小さなイタリアンレストランを経営している。
若くしてオーナーシェフだ。
関西圏の女性誌に「イケメン・シェフ」として取り上げられたこともあったが、
ものすごくハンサムというわけではない。
接客がうまいらしい。
というのも、彼は二年前まで某外資系企業の銀行員だったのだ。
サブプライム問題を早くから予見していた彼はそれでも金を貸し付ける仕事に割り切れなさを感じていた。
もともと料理好きだったが、
赴任していたことのあるイタリア料理の味が忘れられず、
現地に修行しなおしてイタリア料理店を開いたのだった。
中肉中背で面長。
会話が上手で、にっこり笑うとどんなに怒っている人も笑ってしまうようなキャラクターだった。
店はカウンターに6人と、4人がけのテーブルがひとつしかない大きさだから、彼は1人で切り盛りしていた。
英語とイタリア語ができるその語学の堪能さも生き、大使館関係者や外国人客も多かった。
買出し、仕込み、調理に接客。
満席になると目が回りそうなほど忙しい。
それでもドルチェにまで手を抜かないミラノ仕込の味と、
絶妙のタイミングで接客する彼を目当てに女性客が多かった。
そんな謙治がエムロードに自分で登録しにきたとき、優子は意外に思った。
「失礼ですけど、お客さんの女性から声がかかることも多いでしょう」
謙治は人懐っこく笑って首の後ろをちょっとかいた。
「いや、まあ。でもお客さんはお客さんで、
結婚相手じゃない気がするんです。
おかしなことをしてお客さんでなくなってしまったり、
へんな評判がたっても困るじゃないですか。
それに、忙しくて、毎日ほんとに時間がないから」
年収の欄には500万円とあった。
優子がその数字を見ていると、謙治は言った。
「そんなに儲からないんですよ。
今年、必ずその数字まで行くかどうかもわからないし。
ぼく、いい食材を使ってしまうし。
開店のときの資金の返済や家賃のこともあるし。
最近はユーロが上がってきて、
ワインの仕入れ値もあがってしまって... 」
恥ずかしそうにする彼を、優子は好ましく思った。
「でも夢があるじゃないですか。
将来、もっと大きなお店になるかもしれないし。
あなたの腕を見込んで大きなスポンサーが現れるかもしれないし」
「いや... 」
謙治は笑いながら首を振った。
「ぼくはレストランをあんまり手広く商売にしようという気持ちがないんです。
自分がお客さんの顔を見てできる範囲でやっていけたらいいなって。
『おなかの具合はどんな感じですか』なんて聞きながら、
『この人は何が食べたいのかな』って思いながら、
つくれたらいいなと思って、
今の店のスタイルにしたんです」
優子は彼に尋ねた。
「家に帰ったら、もうお料理はしないんですか」
謙治は真面目な顔で言った。
「いや、そんなことはないです。
ぼくは嫁さんにもぼくのつくったパスタを食べてもらいたいです。
まあ、普通の和食はつくってもらいたい気もするけど...。
あ、でもぼくのほうが上手いかな」
幸せな家庭を想像しているような謙治の眼差しに、優子は微笑んだ。
優子は絵梨子と話した翌朝、謙治に電話をした。
「あなたが家でも料理をつくりたくなる女性がいますよ」
「そう... ですか」
電話の向こうで首の後ろをかく謙治の照れ笑いが優子には見えたような気がした。
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※この小説は、大阪・京都・神戸;関西の婚活に創業18年、約5,000組の成婚実績のある結婚紹介所エムロード のサイト上で、連載している婚活 小説(大阪・京都・神戸;関西)『マリッジ・コンサルタント優子の結婚(婚活)物語』 のアメブロ版として、連載しています。
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