閲覧の際はご注意願い〼
ーガチャンー
玄関の扉が音を立てた。
不思議そうに首を傾げながらも
二宮くんの言う事を受け入れる。
そんな智くんが、羨ましかった。
『はぁ・・・
オレは中途半端だな』
二宮くんの可愛さもなければ
智くんみたいな素直さもない。
・・・だからダメなんだよ。
『焦らなくても
いいんじゃないの?』
『・・・え・・・?』
もう1度、
大きく溜息を吐いた時、
智くんを送りに出てた
二宮くんが戻ってきて、
オレに向かって笑った。
『二宮くん・・・?』
焦らなくて・・・いい?
もしかして、
オレが言いたいこと
分かってるの・・・?
『ふふ。翔さん、
目がまん丸になってる』
『え、ああ、目ね。
いや、そんな事じゃ
なくて、あの・・・っ』
『大丈夫よ。大丈夫。
きっと待っててくれる。
だから、ね? 翔さんは
自分を責めちゃダメよ?』
『二宮・・・くん・・・』
『潤くんを信じて。ね?』
ああ・・・っ
やっぱりそうか。
全部お見通しなんだ。
『あ・・・まさか、
それで智くんをっ?』
ただの我が儘じゃなくて、
オレが話しやすいように
わざと智くんを
買い物に行かせた?
『翔さん、最初は
きっとサトシに相談
するつもりだったのね?』
『えっ・・・あ・・・?』
『サトシの電話にね?
着信があったの。さっき。
相手は翔さんでしょう?』
『あ・・・えっと・・・』
『だけど、サトシは
電話には出なくて・・・。
そこで貴方はこう考えた。
「二宮くんと一緒かな」
それで、ここに来たのね?
そして丁度いいと思った。
「それなら彼にも話を
聞いてもらおう」ってね。
だけど、いざとなったら
話しづらい事に気づいた』
すらすらと彼の口から
放たれる言葉に驚いた。
だって、まさしく全く
その通りだったからね。
『・・・参ったなっ。
キミはエスパーかい?』
『ふふ。当たった?
まぁ、サトシには多分
聞かれたくないでしょ。
高校からの親友だもの』
『うん・・・まあね。
オレ、焦ってたからさ。
そんなコト考えなくて』
冷静になってみれば、
こんな話を智くんに
するのは恥ずかしい。
だからオレは
話し出せなかった。
『焦らなくても
いい・・・か・・・』
二宮くんが言ったのは
焦ってる今のオレに、
そして、潤に対して。
両方の意味だったんだ。
『潤くんは分かってる。
多分、翔さんの気持ちも。
だから、戻ってあげて?
ちゃんと2人で話して?
ゆっくり進めばいいの。
潤くんも、そう思ってる』
二宮くんの話し方は
何だかゆったりして
気持ちがラクになる。
こういうとこ・・・
智くんに似てるなぁ。
『ありがとう。
オレ・・・戻ってみる』
『うん。それがいいよ』
『あ、だけどさ・・・
その・・・ひとつだけ
聞いてもいい・・・?』
『ふふ。潤くんに
任せておけば大丈夫よ。
ああ見えて優しいから』
『っ!・・・そう。
うん・・・そうだよね』
何もかも、お見通しか。
ホントに不思議な人だ。
安堵からか何なのか
オレの口からはまた、
『はあぁ・・・』
大きな溜め息が出た。
ープルルー
ープルルー
その時、テーブルの上で
携帯が突然、鳴り出した。
二宮くんのだろう・・・
彼はすっ、と取り上げて
それからニコッと笑った。
『潤くんからよ』
『えっ・・・?』
思いがけないその名前に
鼓動が一気に激しくなった。
