専業主婦だった頃、何か欲しいものがあるか聞かれても、いつも何もないと答えていた。

そう答える度に、欲しいものが全く思いつかない自分を情けないと思った。


だって、人間だから欲はあるはずで、全く何もいらないわけがないはずなのだ。

なのに、何も思いつかなかった。


せっかく聞いてくれているのに、なんて聞きがいのない相手だと、がっかりさせていたことだろう。

今、考えると、聞いてくれた相手に申し訳なく思う。


いつも、自分のことを後回しにして子ども最優先で考え生活しているうちに、

自分は何が欲しくて、

自分は何がしたくて、

自分はどこへ行きたくて、

自分はどうなりたいのか、

全く答えがなくなっていた。


今日やるべき家事や育児のルーティンだけをこなすだけで、自分に対する希望に気持ちを向けることをすっかり忘れていたのだと思う。


今でも、それほど物欲がある方ではないので、当時は多分ゼロだったのだろう。


当時の自分にもし会えたら、

もっと自分のことを考えようよ、

って言ってあげたい。


忙しいからとか、もらっても無駄になるからとかそんなんじゃなく、もっと自分自身のことを大切に考えてあげる気持ちがあったら、自分以外の人にももっと優しくなれたんじゃないかな…と今振り返って思う。