アニメ感想/「あそびにいくヨ!」 | ライトノベル名言図書館・別館2(更新休止中)

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アニメの3話を見た時点で原作購入、現在7巻まで既読。

……まあ、中堅人気ラノベによくある、半分原作通り、半分改悪なアニメ化でした。
早めに原作に手を出しておいて良かったです。
まず原作の感想を簡単に述べると、意外に人物や設定の描写がしっかりした丁寧さが光る良作だなあという印象でした。

エリスは人間とそっくりな外見ながら、猫から進化してきたことにより一夫多妻を自然に受け入れており、一見すると天然バカにしか見えないながら、外交官だけあって交渉力を備えているというのが、原作における魅力であり、面白さだったと思うのです。
しかし、アニメでは2巻のメイド隊との交渉会話はカット、3巻でのアオイとの重要な会話が半分カットされて、あげくに「一緒に騎央くんを好きになりましょう!」のセリフを険悪ムードの真奈美とアオイの前で空気も読めずに言い放つ、非常に残念な娘に……。

アオイに関しては比較的カットされたシーンが少なかった分マシですが、工作員として闇に生きる中、騎央を好きになって人生に光を見出す事になったという経緯が全く語られなかったのが残念でした。

真奈美は、原作でほとんど空気だったにも関わらず出番が大増量されたこと自体は良いのですが、いつも騎央との仲が手遅れであることを嘆いて、その後悔からアオイに無念を晴らさせようとする、残念な娘になってしまったのは逆効果だったように感じました。
身勝手な性格が鼻についたせいで切ない雰囲気も台無しで、あれではどこに魅力を感じていいのやら……。

サブキャラであるアントニアは、富豪ゆえの悩みから猫耳教団を設立した件についてその背景は語られず、メイド隊もほとんど見所がカット。最も出番が多かった4~5話でもほとんどモブ同然の描かれようだったのはちょっとひどいかなと……。

全体的にテンポ重視で、キャラの背景や設定がほとんど語られなかったため、どうしてもキャラ一人一人の魅力が希薄で、そのまま終盤を迎えてしまったため、盛り上がるはずの場面でもイマイチ盛り上がらず、唐突に見えてしまう場面が多かったように感じました。
まあ、設定が省略されるのは情報量で圧倒的に多い小説原作のアニメ化において毎度のことではありますが、それにも限度があると思います。「あそびにいくヨ!」はさすがに削り過ぎかと。

良かった点として挙げられるのはオリジナルエピソードである3話と8話が面白かったことと、サービスシーンが充実していたこと。
ただ、原作の魅力を殺してまで必要なエピソードだったかというと、やはり疑問が残ります。オリジナル話自体は確かに面白かったですけれど、そのせいで原作エピソードの尺が足りず原作の良さを描ききれなかったのですから、結局プラスマイナス0なんですよね……。
“真奈美の出番を増やしてなおかつ原作に忠実に作ろう”という理想は伝わってきましたが、結局原作もオリジナル要素も中途半端になってしまったという、残念にアニメ化に感じました。

ただ、それも全て売上重視のテコ入れなのかなあ、という気もします。
原作通りやっていれば「地味だけど隠れた良作だった」という評価は得られそうですが、正直あまり売れそうな気はしません。
人気声優によるED曲とサービスシーン、他のMF文庫J作品とのコラボによって、ある程度話題作りに成功していたとは思いますので、たぶん原作をそのままアニメ化するよりは売れないということはないのではないでしょうか。比較する方法がありませんので真相はわかりませんが、たぶん……。

でも、これだけ原作の魅力が削られてしまうのであれば、個人的に2期はいらないかな。